管理人のイエイリです。
これから道路を掘削する工事を行うとき、地上から上下水道やガス、電気などの埋設物が“透視”できると、どんなに便利でしょうか。
そこで、応用地質と日立製作所は2019年以来、地中レーダーを搭載した埋設物探査車によって得たデータをAI(人工知能)で解析し、埋設管や空洞を見える化するサービスの開発を行ってきました。(詳しくは、2019年9月6日付けの当ブログ記事を参照)
福岡市などの地方自治体や鉄鋼業など18団体の協力により、合計240kmの地下レーダー探査を行って評価検証を繰り返し、解析技術の精度向上に努めてきました。
その努力の結果、水平精度については探査結果が
ナ、ナ、ナ、ナント、
実際の埋設管と一致
し、深さ方向は相対位置10cm以内と、高い精度が出るまでになったのです。(応用地質、日立製製作所のプレスリリースはこちら)
この技術を生かして、両社は2021年12月8日、上下水道やガス、電気、通信などインフラ事業者や、設計事務所、施工会社向けに「地中可視化サービス」の提供を開始しました。
事業化に当たっては、単に注文に応じて地中調査を行うだけでなく、これまでの調査結果をクラウド上で提供する「SaaS型プラットフォーム」も構築しました。
ユーザーはWEBブラウザー上で地下埋設物を2D/3D情報として見ることができ、埋設管の深度や地上構造物からの相対距離、埋設管同士の距離などが閲覧できます。
既に埋設物情報が整備されている場所については、参照権を購入することで、すぐに情報を見られるのです。
今後の展開としては、工事計画と埋設物情報をWEBブラウザー上で一元的に管理・共有し、事業者間の個別調整や工事立ち合いなどの工数軽減、事業者間のコミュニケーションの円滑化などで、ユーザーの生産性向上に貢献します。
このほか、設計面では埋設管敷設ルート候補の自動リコメンド機能や、施工面では
埋設物情報とICT建機
を連携し、マシンガイダンスやマシンコントロールシステムによって掘削作業時の事故防止機能への応用も検討していくとのことです。
そのうち埋設物の3Dデータを、HoloLensなどのMR(拡張現実)デバイスに読み込んで、路面から地下を“透視”するという、工事関係者の長年の夢も実現しそうですね。