管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用は、どうしてもパースやウオークスルーなど3Dの部分が多くなりがちですが、本当に生産性を高めようと思ったら、BIMの“I”(属性情報)の活用がポイントになる、ということが以前から言われてきました。
オートデスクは、その考え方をパワーアップさせた建設業界向け統合プラットフォーム「Autodesk Construction Cloud」(以下、Construction Cloud)を開発し、2022年4月から日本での提供を開始しました。
オートデスクと言えば、BIM/CIMソフトの大手ベンダーですが、今回の新製品は
ナ、ナ、ナ、ナント、
施工業務を「つなぐ」
ことにこだわっているのが特徴です。(オートデスクのプレスリリースはこちら)
製品のコンセプトは、施工のあらゆる段階でチーム、ワークフロー、データを連携させることで、リスク軽減や効率の最大化、利益の向上を目指す、というものです。
同社はこれまでも「BIM 360」などのクラウド製品を提供していましたが、今回の「Construction Cloud」はBIM/CIMデータを軸にして、「業務を流していく」ことに注力した製品と言えるでしょう。
「Construction Cloud」はさらに業務別の7つのクラウドシステムから構成されており、その全貌はあまりにも巨大なので、なかなか把握できません。ここは一つ一つ、どんな機能があるのかを見てみましょう。
まずは「Autodesk Build」です。包括的な現場管理やプロジェクト管理を行うもので、情報提供依頼(RFI)や提出資料の管理などの機能があります。
続いて「Autodesk Takeoff」は、その名のとおり数量拾い用のシステムで、2D図面や3Dモデルからの数量集計を行います。
また、「Autodesk BIM Collaborate」は、干渉チェックの自動化や設計修正などの共同作業を、現場とオフィスで効率的に行える機能を提供しています。
「Autodesk Assemble」は、BIMモデルの照会や、設計レビューや数量拾い、見積もりなどの作業と連携させるものです。
このほか、設計図書などを一元管理する「Autodesk Docs」や、収集したデータを分析したり、書き出したりする「Insight」、そしてユーザー権限をコントロールする「Administration」もあります。
これまでは、BIM/CIMソフトを活用していても、数量拾いや問い合わせ、回答、合意形成などを行う際に、「移動のムダ」をはじめ、メールの作成・送受信や管理、作業の進捗状況の管理などに、様々な手作業が介在していました。
今回の「Construction Cloud」による生産性向上効果は、手作業による
「ひと手間」の徹底排除
により、業務をスムーズに、絶え間なく回していくことにあるように感じました。
各システムの説明を見ただけでは、施工業務はいったい、どんな風に変わるのかがイメージしにくい方も多いと思います。
大和ハウス工業は「Autodesk Build」の前身となる現場向け施工アプリ「PlanGrid」を活用し、同社執行役員の吉岡憲一氏が使用感などを「大和ハウス工業がデジタル化で実現を加速する未来の建設現場」という記事で語っています。どんな感じで施工が進むのかを知る参考になりそうです。
BIM/CIMの活用をはじめとする業務のペーパーレス化の効果は、テレワーク化による「移動のムダ」削減に続き、業務のちょっとした「ひと手間」「ふた手間」を省く生産性向上まで進んできたようです。