管理人のイエイリです。
道路などの地下に設置された埋設管の位置や深さを調査する方法として、地中レーダーがあります。
地中レーダーとは、地表から地中に向けて電波を照射し、埋設管や空洞などに反射して戻ってきた波形からその位置を推定するものです。
これまでは波形画像を専門技術者が目視によって埋設管の位置を判定していました。しかし、技術者不足や解析業務の負荷、個人による判定結果のバラツキなどの問題もありました。
こうした問題を解決するため、戸田建設、富士通、きんそくは、新たな埋設管探査システムを開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで波形画像を解析
することで、埋設管の位置や深さを自動的に検出できるのです。(戸田建設のプレスリリースはこちら)
さらに埋設管の2D図面や3Dモデルを出力することも可能です。
AIによる解析では、波形パターンの違いを認識し、埋設管が金属か非金属かの判別や、管内に水があるかどうかの判別も行います。
このシステムの有効性を確かめるため、3社は2021年6月~11月にかけて試験運用を行いました。
実験フィールドでは、約5m四方の範囲に埋設管を設置し、このシステムを使って埋設管を発見する実験を行いました。
その結果、管延長の80%以上を見つけることができました。
さらに、専門技術者も波形の解析にチャレンジしましたが、発見できた埋設管の延長は70.8%にとどまり、
AIの方に“軍配”
が上がりました。
コンクリートのひび割れ発見の分野では、人間が見落とすことの多い0.2mm幅未満のひび割れをAIが見つけられるようになっています。
地中レーダーの波形解析も、AIの方が上手になってきたとは驚きですね。
3社は2022年10月のシステム運用開始を目指して、様々な工事現場で検証を行い、さらなる精度向上を図っていく予定です。
このシステムが実用化されると、埋設管のデジタルツイン化も急ピッチで進み、現場ではMR(複合現実)やAR(拡張現実)のデバイスで、埋設管を“透視”するという、現場関係者待望の施工管理法が実現しそうです。