管理人のイエイリです。
これからのゼネコンは「お客さまから言われたことは、なんでもできる」という従来の経営戦略から、より専門性を高め、差別化を進めていく必要があります。
そんな中、東急建設は、長期経営計画で「デジタル技術」を競争優位の源泉と位置づけ、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を建築事業のプラットフォームとすることで、建設生産システムの変革を目指す戦略を進めています。
これまでも構造、意匠、設備の設計情報を含む「統合BIMモデル」の着工前作成(2021年5月18日付の当ブログ参照)や、BIMデータ化を使った鉄筋の自動加工(2022年4月26日付の当ブログ参照)などの取り組みを行ってきました。
そのプラットフォームがまたまた設計、施工の両分野で進化しました。
設計分野では、建物が消費するエネルギーを低減させるため、BIMを活用した「TC-BES(Tokyu Construction-Building Energy Simulator)」というエネルギーシミュレーションツールを開発しました。
これまで手作業で作成していた、建物のエネルギー消費性能計算プログラム「Open Studio」用の入力データ作成を
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMデータから自動作成
できるようにしたのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
BIMから作成したエネルギーモデルと、同社が過去に施工したZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)案件のデータベースを連携することで、一連の解析フローをシームレスに行えるようにしました。
建物の省エネ性能は、建物の外形や向き、開口部の比率などで大体、決まっていまうので、設計の初期段階で一次エネルギー消費量など各種エネルギー消費量を複数の設計案で比較・改善できるようにしたものです。
一方、施工分野では、地上の足場部材や山留め部材を含む、施工計画のBIMモデルをスピーディーに作成できる「仮設計画ツール」を、2022年4月から全社の建築部門で運用開始しました。
設計BIMモデルをもとに、施工計画モデルを、
わずか数クリックで作成
できるツールなのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
「仮設計画ツール」は、サブシステムの「足場ツール」と「山留めツール」からなります。
設計施工一貫案件では、基本設計BIMモデルにこのツールを適用し、「初期施工計画モデル」を作成します。
その後、実施設計や施工段階で新たな情報を付加していき、「実施施工計画モデル」へと進化させながら運用できます。このとき、専門工事会社やリース会社も同ツールで仮設のBIMモデルを作成し、東急建設のモデルに取り込むことも可能です。
実施施工計画モデルともなると、実際の現場をそっくり反映した「デジタルツイン(デジタルの双子)」と言えるレベルになります。
エネルギーシミュレーションツール「TC-BES」や「仮設計画ツール」は、設計者や技術者が解析ソフトの入力データやBIMモデルを作成するのに、何百回、何千回と操作していたクリックやキーボード作業の「ひと手間」「ひと手間」を徹底的に削減するものです。
その結果、業務が一気に進むことになり、これらの作業に関する生産性向上効果は、少なくとも数倍~十数倍が期待できるのではないでしょうか。