電子野帳「eYACHO」が生成AI、BIM/CIM、テレビ電話と連携! 次世代の施工管理システムへ進化中
2023年7月6日

管理人のイエイリです。

MetaMoJi(本社:東京都港区)が開発、販売するデジタル野帳アプリ「eYACHO」は、2015年の発売当初は、その名の通り、現場の写真や図面、メモなど、現場で発生する様々なことを、従来の紙の野帳に代わってタブレット端末1台で記録するコンセプトからスタートしました。

タブレット1台で現場で発生する様々なことを記録するデジタル野帳アプリ「eYACHO」の使用イメージ(写真:家入龍太)

タブレット1台で現場で発生する様々なことを記録するデジタル野帳アプリ「eYACHO」の使用イメージ(写真:家入龍太)

その後、このアプリはクラウドでの情報共有や図面管理、そして品質管理や安全管理などの機能を充実させ、今や総合的な「クラウド型施工管理システム」に変貌を遂げたと言っても過言ではありません。

「eYACHO」の進化の過程。今や総合的なクラウド型施工管理システムと言えるほど機能が充実してきた

「eYACHO」の進化の過程。今や総合的なクラウド型施工管理システムと言えるほど機能が充実してきた

そのeYACHOが、さらに最近の技術と連携して、進化しようとしています。

その一つは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

ChatGPTなどの生成AI

と連携した「業務AI」(人工知能)の搭載なのです。(MetaMoJiのプレスリリースはこちら

2023年7月4日、MetaMoJi本社で開催された記者発表会で、eYACHOの製品開発について説明する代表取締役社長の浮川和宣氏(左)と代表取締役専務の浮川初子氏(右)(写真:家入龍太)

2023年7月4日、MetaMoJi本社で開催された記者発表会で、eYACHOの製品開発について説明する代表取締役社長の浮川和宣氏(左)と代表取締役専務の浮川初子氏(右)(写真:家入龍太)

同社は以前から大林組や労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所と共同で、過去の事故事例データベースとAIを組み合わせて、現場で行われるKY活動(危険予知活動)の指示事項を自動的に表示する「安全AIソリューション」を開発し、eYACHOに搭載してきました。(2022年7月7日の当ブログ参照

その後、「ChatGPT」などの生成AIが登場したため、MetaMoJiでは従来の事故氏事例データベースを「知識AI」と位置づけ、ChatGPTが持つ法令や規則などの知識を組み合わせることで、これまで発生していなかった事故の予防も行えるようにしたのです。

具体的には、現場で使用する機械や作業内容などを入力すると、知識AIとChatGPTが予想される危険をリストアップします。その中から、現場の安全管理者が選択して「KY活動表」に転記します。あくまでもAIは「人間が考える力」をサポートするという位置づけです。

知識AIとChatGPTが予想し、リストアップした危険から安全管理者が選び、KY活動表に転記するイメージ(以下の資料:MetaMoJi)

知識AIとChatGPTが予想し、リストアップした危険から安全管理者が選び、KY活動表に転記するイメージ(以下の資料:MetaMoJi)

同社は安全管理分野からAI導入を進め、2023年7月4日に機能をリリースしました。

今後は施工管理のQ(品質)、C(原価)、D(工期)、S(安全)、E(環境)のすべてにAIを活用していく方針です。ChatGPTなどの知識、言語以外にも画像生成や認識を含めた「マルチモーダルAI」への展開を目指しています。

もう一つの進化は、BIM/CIMとの連携です。eYACHOにフロアごとなどに分割したBIM/CIMモデルを取り込み、仕上げ検査などの写真やメモなどとリンクした一覧表と連携させることで、検査位置をわかりやすくスピーディーに入力できるようにします。

eYACHOとBIM/CIMの連携によって検査位置と結果をわかりやすく記録するイメージ

eYACHOとBIM/CIMの連携によって検査位置と結果をわかりやすく記録するイメージ

さらに、eYACHOは他の計測機器やIoT(モノのインターネット)デバイスとも連携していきます。これまでは、現場の計測機器を人間が読み取って手入力する活用方法がメインでしたが、今後は計器などから直接、eYACHOに数値を入力し、手入力の手間やヒューマンエラーをなくしていきます。

従来は計器を人間が読み取り手入力するイメージ(左)だったが、これからはIoT機器の数値を自動入力する(右)こともできるように

従来は計器を人間が読み取り手入力するイメージ(左)だったが、これからはIoT機器の数値を自動入力する(右)こともできるように

このほか、現場業務のテレワーク化を推進する機能として、eYACHOの中で

テレビ電話会議

が行える「GEMBA Talk」(仮称)機能が搭載されることになりました。

図面を見ていて何か問題が起こったらその場で関係するメンバーを呼び出してすぐにテレビ電話会議が行える

図面を見ていて何か問題が起こったらその場で関係するメンバーを呼び出してすぐにテレビ電話会議が行える

通常のオンライン会議システムで、図面などを共有して進めるのと、機能的にはほぼ同じですが、会議開催方法がめちゃくちゃスピーディーなのが特徴です。

eYACHOで図面や現場の映像などを見ているときに、問題に気づいたら、その画面上にメンバーを呼び出して即座にオンライン会議が行われるのです。まさにテレビ電話をその場で「かける」というイメージですね。

普通のオンライン会議だと、まず日時を設定したURLを送信し、メンバーが各自でアクセスし、会議が始まったら資料を共有するといった具合に「いくつもの手間」があるのとは対照的で、「ひと手間」で資料を共有しての会議に入れる点が新しいところです。

ネット回線が遅いときには、画像が不鮮明になることもありますが、 「解像度優先モード」が用意されており、画像を鮮明化することもできます。これまでの遠隔臨場であった問題に対応したとのことです。

このテレビ電話会議機能は、2024年度の第一四半期にリリースを予定しています。

遠隔臨場などでネット回線が遅いと、画像が不鮮明になってしまうことがある

遠隔臨場などでネット回線が遅いと、画像が不鮮明になってしまうことがある

「解像度優先モード」を使うことで、鮮明な画像になる

「解像度優先モード」を使うことで、鮮明な画像になる

現場での記録を「紙からデジタルへ」切り替えることをコンセプトにスタートしたeYACHOですが、様々な最新ハード、ソフト、ネットの技術を取り入れて、「QCDSE」という大局を視野に入れた次世代の施工管理システムへと進化しつつあります。

同社では昨日(2023年7月5日)から7日まで、オンラインで「MetaMoJi Days 2023」というイベントを開催中です。7日(金)の13時からは建設業界向けに5つのセッションが行われます。ご興味のある方は見に行ってみてはいかがでしょうか。

eYACHOの中期開発ビジョン。AIやテレビ電話会議、施工管理業務メニューなどを充実させ、次世代の施工管理システムへの進化を目指している

eYACHOの中期開発ビジョン。AIやテレビ電話会議、施工管理業務メニューなどを充実させ、次世代の施工管理システムへの進化を目指している

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