管理人のイエイリです。
梅雨の合間には、強い日差しや猛暑に見舞われる時期となり、本格的な夏のシーズンがすぐ目の前に来ていることを感じさせます。
夏といえばマリンスポーツ、さわやかな風に吹かれて海面を帆するヨットは、その象徴です。しかし、最近は若者のヨット離れが指摘されており、使われなくなった「放置艇」などの問題も各地で発生しています。
ヨットにとって逆風の今日この頃ですが、エバープルーテクノロジーズ(本社:東京都調布市。以下、エバーブル)は2022年、ヨットの新製品として「AST-231」を発売しました。
全長3.03m、全幅1.35m、船体重量約55kgのこの小型ヨットは、練習用などによく使われている「ディンギー」をほうふつとさせますが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
帆走ドローン
として開発されたものなのです。(エバーブルーのプレスリリースはこちら)
このドローンはオーストラリア製の小型ヨット「Hansa」に、エバーブルーの自動操船化ユニット「eb-NAVOIGATOR2.0」を組み合わせたものです。
普通、風で進むヨットの操縦は、モーターボートより難しく、風向きと自分が進みたい方向によって、帆の角度やヨットの向きを考えながら進む必要があります。
その点、このAST-231はスマホアプリ自動操船機能により、目的地をセットするだけで、誰でも簡単に、操船者なしで自動航行できます。
人件費や燃料代が不要なので、魚群探知機や海洋調査機材などの計測機器を搭載して、海上の調査や物資の運搬、海上パトロールなどさまざまな目的に使えます。
最大積載量は160kgで2人まで乗船でき、10時間の連続航行が可能です。船体は波が高くても転覆しにくく、風が強い場合にはセールを巻き取って面積を小さくすることで、風速10m/s以上でも帆走できます。
気になるお値段ですが、600万円(税別)からとなっています。
すでに国土交通省の「スマートアイランド推進実証調査業務」で、19km(10カイリ)、約9時間の無人自動搬送に成功するなどの実績もあります。
一方、河川やダム湖の護岸や橋脚の見回りなどでは、風向きに関係なく、思ったところにスピーディーに移動することが求められます。
そんな用途のために、同社は高機動型水上ドローン「AST-181LT」をこのほど開発しました。
船体は全長1.8m、全幅0.7mで船体重量は57kg。最高速度は時速35kmにも達します。稼働時間は使用状況に応じて20~480分となっています。
完全内蔵されたプロペラによる2機の電動水流ジェットで推進するため、浅瀬や岩礁のあるところでも安心して走らせられます。
操縦は、船体に搭載された防水カメラの映像をリアルタイムでコントローラーの画面に表示しながら遠隔操作が行えるほか、コントローラーに内蔵されたアプリ「QGroundControl」に経由地を設定して、自動航行し、定点保持やスタート地点に自動的に戻らせることも可能です。
コントローラーは2.4GHz帯の電波を使用し、現場状況によって数百メートルから3km程度までの遠隔操作やデータ観測が行えます。
発売は2023年秋ごろを予定しており、気になるお値段は350万円(税別)となっています。
そしてエバーブルーの技術は、冬季の雪かき作業にも活用されることになりました。
海や湖など、目印がない現場を、高精度で制御する自動操船ユニット「eb-NAVIGATOR」や、オリジナルスマホアプリ「eb-CONNECT」の技術を活用し、
小型除雪機のドローン化
の開発も進めているのです。(エバーブルーのプレスリリースはこちら)
想定しているのは、住宅地の自宅駐車場と玄関までの敷地内通路や、大型除雪機が入れない商業施設、歩行者用通路などの除雪です。
2023年2月には、北海道滝川市内で敷地内除雪の実証実験を行い、雪上の走行性や位置精度、実用性などを確認しました。
庭先や駐車場の除雪では、水上以上に高精度が求められるため、RTK-GNSS基地局を活用し、位置の誤差をセンチメートル精度に収めました。
今回の実証実験では、人が操作するために作られた市販小型除雪機だったため、遠隔化や自動化に対して最適な形状・機能ではないこともわかりました。
そこで同社は無人自動除雪ドローンとして、「除雪ロボ」のプロトタイプを開発しています。
雪国の人々にとって、除雪は大きな負担となっています。この除雪ロボが実用化されると、「寝ている間に除雪が完了する」という“夢のような生活”が実現できそうですね。
除雪ロボは、2023年冬ごろの商品化を目指しています。