100平米の天井足場に76人乗りエレベーター! 清水建設が”動く”超大型仮設を続々と開発
2024年9月13日

管理人のイエイリです。

建設業の生産性向上や働き方改革の第一歩は、移動や手待ち、繰り返し作業など直接、建物や構造物の施工に関係ない様々なムダを削減することです。

そんな中、清水建設は超高層ビルの天井・内装工事用に、新たなステージ足場を開発しました。

最大で床面積100m2、積載資材を含めた重量3トンという大きなものです。

超高層ビルの天井・内装工事用に開発された大型足場 (以下の写真、資料:清水建設)

超高層ビルの天井・内装工事用に開発された大型足場 (以下の写真、資料:清水建設)

この足場は面積が大きいだけでなく、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

リモコンで自由自在に移動

 

できるのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

足場の1階部分には4輪のメカナムホイールを装備したバッテリー式電動台車を内蔵

足場の1階部分には4輪のメカナムホイールを装備したバッテリー式電動台車を内蔵

この足場の1階部分には、ナブテスコ(本社:東京都千代田区)製のメカナムホイール(全方向車輪)を4輪備えたバッテリー式電動台車があり、車体の向きはそのままで前後・左右・斜め方向に移動できるのが特長です。

足場の重量に応じてカウンターウエイトを積むことで、移動に必要な車輪の設置圧を確保します。

移動操作には、無線式のコントローラーによって、操作者は足場上から操縦できます。

足場を動かす電動台車。足場の広さに応じてカウンターウエイトを積み、移動に必要な設置圧を確保する

足場を動かす電動台車。足場の広さに応じてカウンターウエイトを積み、移動に必要な設置圧を確保する

フロア面積が広い建物では、ステージ足場が広いほうが作業効率が高まる半面、足場資材の数量が増えたり、搬出入や組み立て、解体に手間ひまがかかったりします。

その点、この移動式足場はフロア全体に足場を敷き詰める必要がないため、足場資材が少なくて済み、組み立て、解体の作業も少なくできるというメリットがあります。

このほか、清水建設は超高層ビルの建設で、資材の楊重や作業員の移動をスピーディーに行うため、国内最高の垂直搬送性能を備えた工事用エレベーター「SEC-5000RS」を、三成研機(本社:埼玉県日高市)、エスシー・マシーナリ(本社:横浜市瀬谷区)と共同開発しました。

超高層ビルの施工用に開発された工事用エレベーター

超高層ビルの施工用に開発された工事用エレベーター

その最大積載荷重は5tで、

 

76人が一度に乗れる

 

ほどです。(清水建設のプレスリリースはこちら

多くの作業員が働く超高層ビルの現場では、朝礼後や休憩後に、エレベーター前に長蛇の列ができることが多くあります。これだけの大人数が一度に乗れると、手待ちのムダも大幅に解消されそうですね。

かご部の内寸は幅5.8m×奥行き2.16m×高さ3.0mで、従来の最大積載量3tの機種に比べて、内装用ボードの積載量は3倍の6山を積めるようになりました。

従来の3tの機種(左)と新型の5t機種(右)の最大積載量比較

従来の3tの機種(左)と新型の5t機種(右)の最大積載量比較

スピーディーな輸送を行うため、積載荷重に応じてが0~3tと軽い時は分速110m、3~4.5tのときは同100m、4.5~5tのときは同90mと、積み荷や乗車人数に応じて昇降速度を変えられる「可変速制御機能」も備えています。

開発における課題は騒音対策でした。通常の工事用エレベーターのように、かごの床下に駆動部が取り付けると、その振動が直接伝わり、高架下レベルの約90dBという騒音が発生します。

そこで駆動部から防振装置を介してかごを吊り下げる方式を開発した結果、騒音を電車の中レベルの約80dBへと大幅に減らすことができたのです。

駆動部から防振装置を介してかご(搬器)を吊り下げる方式で、騒音のレベルは大幅に下がった

駆動部から防振装置を介してかご(搬器)を吊り下げる方式で、騒音のレベルは大幅に下がった

このエレベーターはすでに1号機が日本橋1丁目中地区建設工事で稼働しており、2号機と3号機は国内最高層となる東京・大手町のTorch Tower新築工事で使われることが決まっています。

足場やエレベーターなど「動く仮設」が大型化することで、超高層ビル建設の生産性はますます高まりそうですね。

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