管理人のイエイリです。
XRコンテンツ開発を手掛けるシンフォニア(本社:東京都府中市)は、トラックに搭載したラジコンクレーン操作をVR(バーチャルリアリティー)で練習できる「小型移動式クレーンVRトレーニング」を2024年6月から提供しています。
現場で使われている古河ユニック(本社:東京都千代田区)の小型移動式クレーンやクレーンリモコンをVR化し、手元で操作するリモコンは実物の「液晶ラジコンJOY」をそのまま使うというリアルさが売り物です。(2024年6月25日の当ブログ参照)
練習の基本は、手順を一つひとつ確認しながら安全に荷物を吊り上げ、所定の場所に下ろすというものですが、このほど新たな機能が追加されました。
VR上でわざと確認を怠ったり、準備を省いたりする怠慢な作業を行い、
ナ、ナ、ナ、ナント、
過去に起こった事故
をリアルに体験できる「事故事例による危険体験」コンテンツなのです。(シンフォニアのプレスリリースはこちら)
クレーン作業による災害で特に多いのは、アウトリガーの張り出し不足や軟弱地盤への対策不足によって、トラックが転倒し、車体や吊り荷にはさまれて亡くなるケースです。
無事故での作業に慣れた頃、仕事が遅れてきた場合には、ついつい目先の吊り荷の扱いの方に目が行ってしまい、アウトリガーや地盤などの確認がおろそかになってしまうことがあります。
そんな“怠慢作業”の結果、重大な事故につながるまでのステップをVRで体験しておくことで、あらためて日ごろの安全確認や準備の大切さを認識することができるのです。
この「事故事例による危険体験」コンテンツは、過去に実際に起きた事故を忠実に再現しています。怠慢作業を行っている自分の姿を、第三者の視点で引いてみることもできるので、いかに自分が危険なことをしていたのかが理解できます。
こうしたVR体験をしておくと、実際の現場で作業中に「焦っている自分」や「慣れた作業という感覚」を感じた段階で、
“死亡フラグ”
が立っていることに気づくことでしょう。
そして、「これではいけない」と我に返り、あらためて安全作業を心がける効果が期待できそうです。
小型移動式クレーンの作業による死亡事故件数は、モーメントリミッターの装着義務やメーカーによる安全対策により、減少傾向にありますが、いまだに年間、数件発生しています。
シンフォニアでは今後も実際に起こった事故を題材として、年間3~4本の事故体験コンテンツを追加し、サブスクリプション型のオプションとして利用できるようにする計画です。
このVRシステムで事故を経験しておくことで、クレーン作業はもちろんのこと、仮設や高所作業など他の作業においても危険を察知する感覚が高まります。それにより、事故防止にもつながるでしょう。