管理人のイエイリです。
バックホーで地下を掘削したり、トンネル内で発破したずりを集めたりするとき、気になるのはアームが切梁や支保工などにぶつからないかということです。
これらを誤って傷つけると、思わぬ大事故につながりかねないため、バックホーのオペレーターは誘導員の合図を確認したり、アームをこまめに動かしたりして、緊張を強いられる作業が必要でした。
そこで鹿島は、こうした狭い場所でバックホー作業を行うとき、既設構造物などの損壊を防ぐため、「衝突回避システム」を開発しました。
作業中に既設の切梁や電線などにバックホーのアームが近づきすぎると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
バックホーを自動停止
させ、警告ランプとブザー音でオペレーターに通知するのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
障害物にアームが接近したことを知らせるモニター表示の例●
このシステムは、物体を検知するための2次元LiDARセンサー2台、バックホーのブームやアーム位置や傾斜を検知する傾斜センサー3台、そして検知範囲の設定や物体の検知を認識するコンピューター1台などで構成されます。
バックホーでの作業中に切梁などが、検知範囲の中に入ると、バックホーを強制的に自動停止させます。同時に運転室内のモニターと警告ランプが点灯し、ブザー音でオペレーターに知らせます。
検知範囲は施工条件を考慮し、モニター上で任意に設定できます。
このシステムがあると、狭い場所でもブームやアームを限界ギリギリまで動かしつつ、
ノビノビと作業
ができそうですね。
鹿島はこのシステムを横浜高速鉄道(本社:横浜市中区)が発注する「みなとみらい21線車両留置場建設工事」と、西武鉄道(本社:東京都豊島区)が発注する「新宿線中井~野方駅間連続立体交差事業に伴う土木工事第1工区(その24)」に導入し、バックホーと切梁など既設物との接触や衝突を防止し、作業中の安全性向上に効果があることを確認しました。
今後、同種工事の現場で長期的に使用し、システムの耐久性を検証するとともに、検知範囲の精度向上を図り、全国の土木・建築工事現場への展開を目指します。