管理人のイエイリです。
米国のHP(本社:カリフォルニア州パロアルト)と言えば、家庭用から業務用まで、インクジェットプリンターの幅広いラインアップを誇るメーカーとして知られています。
建築の関連製品としては、建物の壁紙や外装材、屋外の垂れ幕などを印刷する大型のラテックスプリンターなどもあります。
そのラインアップがさらに建設分野向けに拡張されました。
同社と日本HP(本社:東京都港区)は2025年5月15日、「HP SitePrint」(以下、SitePrint)という新製品を日本で販売開始することを発表したのです。
大きなタイヤと前輪が付いているため、家庭用の掃除機のような外観ですが、その中身は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
墨出しロボット
なのです。(日本HPのプレスリリースはこちら)
つまり、現場を走行しながら実寸大の図面を床に描く“走るインクジェットプリンター”というわけです。
各社の自動追尾式トータルステーションなどと連携して現場内の位置を精密に把握しながら、高速で墨出し作業を行います。
墨出し用のデータは、CADやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の2D図面をDXF形式で、HPのクラウドサーバー経由で墨出しロボットに送ります。

携する測量機器の例。左からライカジオシステムズ、トプコン、ニコン・トリンブルの測量機器。2025年4月現在の対応機種はLeica TS16、Leica TS60、Leica iCR80、Leica iCR70、Trimble RTS573、Trimble S9、Topcon LN-150、Topcon GT600/1200
CAD図面と同様に実線や破線、曲線、文字なども自由自在に描くことができ、インクカートリッジを交換すると線の色も変えられます。
また、ちょっとした段差があっても乗り越えて作図し、前後左右に備えてセンサーで障害物との衝突を防止します。
HPによると、SitePrintによる墨出し作業の生産性は、
手作業の約10倍
にも上ります。
例えば、従来の方法で2人1組で墨出しを行うと、こなせる面積は1時間あたり25~35m2が一般的ですが、HP SitePrintを使うと1人の作業員で1時間あたり180~300m2にもなるとのことです。
日本での販売は、トプコンソキアポジショニングジャパンとニコン・トリンブルが正規販売パートナーとして担当します。料金は過酷な条件の現場で使用する製品のため、修理やサポート、インク代を含めた包括的なサポート契約に基づく「従量課金モデル」を採用しているとのことです。
これだけ手厚いサポートがあれば、現場導入のハードルも下がるでしょう。ここから現場のオートメーション化に挑戦してみるのもいいかもしれません。