管理人のイエイリです。
道路や地下埋設物の維持管理は、本当に手間ひまがかかります。広いエリアを少ない人数で見なければならないうえ、老朽化は進むし、豪雨や地震への備えも必要です。
これまでの管理は「まず現地を見て」から始まりますが、路面下の異常は表面化してから気づくことも多く、早期の異常発見や処置を行うためには、点検や調査の頻度を上げる必要があります。
例えば、埼玉県が管理する県管理道路は約2800kmもあり、広域インフラを迅速かつ効率的に管理する手法の導入が課題になっていました。
こうした道路管理者のお困りごとも、既存インフラとデータ技術の組み合わせで打開できるかもしれません。
埼玉県県土整備部とNTT東日本(本社:東京都新宿区)はこのほど、DX推進による建設・維持管理プロセスの変革に関する連携協定を結びました。
そこで目指しているのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
県道を机上で監視
するインフラ管理なのです。(NTT東日本のプレスリリースはこちら)
その柱の一つが、NTT東日本が保有するMMS(モービルマッピングシステム)で取得した3D点群データの共有・利活用です。
3Dレーザースキャナとカメラを積んだ計測車両が道路を走りながら、道路や周辺構造物の3次元位置情報を高精度に取得し、道路幅員や構造物寸法、断面形状などを机上で把握できるようにします。
道路、河川、砂防、災害対応など、県土整備業務で幅広く使えるデータをまとめて取れるのがミソですね。
協定の内容は、(1)インフラの維持管理における3D点群データの共有・利活用、(2)インフラ情報等のデータベース化、(3)センシング技術を活用した事故・災害の未然防止及び維持管理業務の高度化、(4)その他DX推進、の4本立てです。
締結期間は2026年3月25日から2029年3月31日まで。つまり今回は、単なる計測実験ではなく、建設・維持管理プロセスそのものを変えようという連携です。
現場の感覚で言うと、道路を走って取ったデータをあとで見返し、まず机上で全体をつかんでから、必要な場所に絞って現地確認する流れが見えてきます。
一方、道路の監視では地上だけでなく、最近は地下インフラの老朽化などによる道路下の異常発生も見逃さないようにしなくてはいけません。
その目的を達成するため、路面下の空洞発生など、
地下の異常も早期発見
できるようにすることも目指しています。
この目的のために使うのが、既存の通信用光ファイバーです。
平たく言うと、光ファイバーを「多数のマイクを並べた細長いセンサー」のように使って、地中振動やその変化を連続的に捉え、異常の兆しがある位置を絞り込むというイメージです。
このセンシング技術によって、路面下や地下埋設物の異常の兆しを現地に行かずに把握することを想定しています。道路陥没や劣化リスクを対象に、常時監視による予防保全型管理をめざすというわけですね。
NTT東日本は2025年2月から、通信用光ファイバーを用いたセンシング技術による地中空洞検知プロジェクトも始めており、新たにセンサを設置することなく、路面下の振動特性変化を検知して空洞の早期発見に役立てる方向を打ち出しています。
MMSによる点群データと、光ファイバーによる振動データを組み合わせた常時監視で、「どこを先に見に行くべきか」が決めやすくなります。
将来、3D点群データ、地下埋設物情報、センシング結果がデジタルツインのような形で集約され、一体で回り始めたら、調査、設計、施工、維持管理のつながり方はかなり変わりそうですね。
こういう「既にあるインフラを賢く使い倒す」発想は、一つの建設DXの道と言えそうです。



















