管理人のイエイリです。
建物の維持管理ではこれまで、設備などに問題が生じたとき、図面や台帳、様々なカタログなどの資料を引っ張り出して、目的の情報を探し出すまでに膨大な手間ひまがかかっていました。
この問題を解決するため、フジタとフジタビルメンテナンスは、病院向けにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使った建物の維持管理システムを構築しました。
BIMモデルから関連する資料を即座に検索できるので、資料探しはとても楽になります。
と言うと、日々、蓄積される点検記録や修繕履歴などの文書データを、BIMモデルに関連づけて管理する作業は、さぞかし大変だろうと思う人もおられるでしょう。
しかし、そこは心配いりません。文書データをシステムに投げ込むだけで
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMモデルと自動リンク
を張ることができるのです。
このシステムは、3Dモデルを使ってプラント設備を管理する「NaviPortal」という、東電設計のソフトを、建築設備向けにカスタマイズして開発されました。
BIMモデルやCAD図面、資料などの内部にあるテキストを、全文検索機能で探し出し、相互にリンクを張る機能をもっています。BIMモデルは、「NavisWorks」のモデルデータを使います。
その他の機能としては、BIMモデル上の配管から、大元のバルブを探し出したり、配管やダクトなどつながっている設備の系統を表示させたりすることができます。
複雑に入り組んだ設備が、どんな位置関係にあり、影響する機器を正確に把握するのに便利そうですね。
このシステムはパソコンとソフトだけで動作するので、大掛かりなサーバーなどの設置はいりません。
また、BIMモデルの「わかりやすい」という強みを生かして、建物管理業務の経験が少ない人でも、3D表示された設備から、関連する資料をすぐに調べられます。
そのため、BIMや3Dに慣れていない人でも簡単に使えるよう、
シンプルな操作仕様
にしています。
今回、構築されたシステムは、安井建築設計事務所が設計を、フジタが施工を担当し、2017年6月に開院した福岡みらい病院(福岡市東区、418床)に、すでに導入され、有効性を確認したそうです。
BIMを使った維持管理は、単純な設備系統図と機器のデータベースがあればいいという意見と、今回のシステムのようにダクトや配管などのルートまでを3Dで再現した方がいいという意見があります。
それぞれ、BIMモデルやデータベースの維持や操作性に一長一短がありそうですので、今後の維持管理業務がBIM活用でどう変わっていくのかに注目していきたいですね。