管理人のイエイリです。
道路のトンネルや橋などの老朽化に対する維持管理が課題となっていますが、標識や照明灯などの「道路付属物」も同様です。
国土交通省 道路局 国道・技術課が2019年3月に作成した「附属物(標識、照明施設等)点検要領」を見ると、道路標識や照明灯などの老朽化事例や、維持管理のもととなる「点検表」の例などが、167ページにわたってまとめられています。
しかし、無数にある標識などは「どこに、何があるのか」を把握するだけでも大変で、さらに点検表を作るとなると気が遠くなる施設管理者の方もおられるでしょう。
そんな方に朗報です。古河電気工業とゼンリンデータコムがこのほど「みちてんスナップ」サービスを開始したからです。
このサービスを導入すると、街中の道路をドライブするだけで、国交省の様式にあった点検表を
ナ、ナ、ナ、ナント、
データ入りで自動作成
してくれるのです。(古河電工のプレスリリースはこちら)
点検表作成の自動化は、ドライブレコーダーとAI(人工知能)の活用にあります。
ドラレコを搭載したクルマで管理対象の道路を走行すると、動画と位置情報が連続的にデータとして記録されます。
その走行動画をAIが解析して、道路標識や照明灯、カーブミラーなどの道路付属物を自動的に認識して切り出し、所在地や緯度・経度、写真、位置図などのデータを入力した点検表を自動作成します。
●点検表に含まれる情報 種別 管理者* 管理番号 道路種別 所在地 緯度・経度(10進法表記) |
点検種別* 点検方法* 点検年月日 点検員(所属・氏名)* 位置図(ゼンリン地図、または国土地理院地図) 全景写真 |
栃木県日光市では、このシステムを使って市道全域1450kmを巡回車で走破し、道路標識938基の点検表を全数整備することができました。
その作業時間は、従来の手作業に比べて、10分の1に大幅短縮されたとのことです。
でも「点検表はできたけど、その後の点検とデータの入力はまた大変そうだな」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
安心してください。現場点検用には「みちてんアシスト」という別のシステムが用意されており、
ARで点検対象物を特定
して現場を撮影。その写真を自動振り分けして点検表に記録することができるのです。
このシステムは、道路付属物などのこまごました構造物の現状をデジタルデータで再現した「デジタルツイン(デジタルの双子)」を自動的に作成するツールとも言えるでしょう。
道路標識などの維持管理に、“革命”をもたらすシステムと言っても過言ではありません。