管理人のイエイリです。
東日本大震災では、東京や大阪などの高層ビルが長時間にわたって大きく揺れました。これらのビルのオーナーには、入居するテナントから「ビルをこのまま使っても大丈夫なのか」という問い合わせが殺到しました。
ビルオーナーは安全と考えても、その根拠を示す必要があったため、建物の被害状況調査にコストと時間を費やしました。
そこでNTTファシリティーズは、地震直後にビルの安全度を判定するサービス「揺れモニ」を開発し、10月1日に販売を開始しました。
その特徴は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
建物全階に地震センサー
を取り付けていることなのです。
これらのデータをもとに、各ビルに設置したパソコンは地震時の層間変位角を求め、モニター画面に継続使用の可能性の高い方から、青・黄・赤で評価します。そのため、地震直後にテナントから「このビルは安全なのか」と聞かれても「はい、揺れモニの解析結果によると安全です」といった具合に、スピーディーに回答することができます。
さらにビルごとの災害時対応方針に沿って、「この次はどう行動するか」といったコメントも提示できるので、いざという時にもビルオーナーは冷静に対応できます。
揺れモニでは固有周期や傾斜も求めることができ、継続使用の可能性をより詳細に検討するときに使います。
「揺れモニ」のシステム構成(資料・写真:NTTファシリティーズ。以下同じ) |
パソコンの画面イメージ |
使用する地震センサーは同社が独自に開発したもので、他社の同等製品に比べて2~3割のコストダウンを実現しました。そして超小型長周期振動の加速度計測も可能なことを、同社の3次元振動台「DUAL FORCE」で性能を検証しました。
また解析に使用するパソコンは、振動や衝撃に強いSSDタイプを使っています。
従来の「被災度判定システム」は3~7階ごとに地震計を設置し、そのデータを振動解析モデルに入力して計算することで各階の層間変位などを求めていました。そのため、建設時に振動解析モデルの作成を必要としない高さ40m程度(10階建て相当)のビルにはほとんど導入されていないとのことです。
その点、「揺れモニ」は各階の加速度を直接測定するので振動解析モデルがなくても導入できるので、高さ40~60mのビルにも導入できます。
しかし、せっかくのシステムも地震が起こったときに故障していたのでは意味がありません。そこで同社では顧客の設備を監視する拠点であるFOC(ファシリティーオペレーションセンタ)でセンサーと解析用パソコンを
常時監視
し、現場メンテナンス部門と連携して故障発生時の駆け付け修理から定期メンテナンスまでをワンストップでサポートします。
地震センサーの長周期地震動に対する性能を検証した3次元振動台「DUAL FORCE」 |
FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ) |
NTTファシリティーズでは、このサービスをオフィスビルや公共施設など年間50棟導入することを目標にしています。