管理人のイエイリです。
2本の脚で階段を歩行し、バイオリンさえ弾いてしまう人間型ロボット「ASIMO」。この驚異のロボットを開発した本田技研工業(以下、Honda)は、昨日(11/8)、さらに知能面や身体面での能力を格段に向上させた「新型ASIMO」を発表しました。
新型ASIMO(写真:Honda。以下同じ) |
身体面では、脚力をアップし、脚の可動域を拡大するなどの改良を加えて、凹凸のある路面での歩行や、時速9kmでの走行、バック走行、そして片足ジャンプ(ケンケン)や両足ジャンプなども連続して行えるようになりました。
時速9km走行時の脚の動き |
両足ジャンプで宙に浮いた瞬間 |
凹凸のある路面を踏破する新型ASIMO | 片足ジャンプ(ケンケン)での歩行 |
知能面では、人間の視覚や聴覚、触覚などに相当する各種センサーからの情報を総合的に判断し、周囲の状況を推定したり、それに対応する行動を自分で決定したりできるシステムを開発しました。
視覚センサーと聴覚センサーを連動させて顔と音声を同時に認識することにより
ナ、ナ、ナ、ナント、
数人の話を同時に聞く
できるという、聖徳太子も顔負けの能力を備えているのです。
このほか、プレゼンテーションの途中であっても、お茶などが運ばれてくると中断してすすめるなど、人の動きや状況に合わせた応対が可能となりましたも可能です。
新型ASIMOは、周囲の人の動きに合わせて自分の行動を判断する能力を備え、「自動機械」から「自律機械」へと進化しました。
3人が同時に発する言葉を聞き分けられる |
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お客様へのプレゼンを中断し、お客様に飲み物が来たことを知らせる新型ASIMO | 人の歩く方向を予測して、ぶつからないように進む |
さらに、細かい作業もできるようになりました。手のひらに触覚センサー、5本の指にはそれぞれ力センサーを内蔵し、各指を独立して制御する高機能小型多指ハンドを開発。
これに視覚と触覚による物体認識技術を組み合わせた結果、
紙コップに水を注ぐ
ような、高度な動きもできるようになりました。指の動きを使った「手話」も可能です。
水筒を握り、ふたを開け、紙コップに水を注ぐ新型ASIMO | 手話で“家族”を表現をする新型ASIMO |
Hondaはヒューマノイドロボット研究から生まれるロボティクス技術と応用製品の総称を「Honda Robotics」と名付け、ASIMOの開発で培った多関節同時軌道制御技術と姿勢制御技術を使った「作業アームロボット」も試作しました。
バルブの開閉を想定した作業アームロボット |
今後、量産製品や応用製品の実用化にも取り組んでいくそうです。建設業界でも、工事現場の守衛や現場見学の案内、また作業アームロボットはボルトを締め付けるときにナットを持っていてもらうなどの用途に使えるかもしれませんね。