東大教授が関大で講義!東日本大震災で空間情報はどう役立ったか
2011年12月15日

管理人のイエイリです。

私ごとですが、今年の11月から関西大学総合情報学部の非常勤講師として「ベンチャービジネス論」の授業を担当しています。昨日(12/14)の授業終了後、東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介先生が「空間情報学」の特別講義を行うというので、私も飛び入り受講させてもらいました。

教室には約200人の関大生がぎっしりと詰めかけ、熱気に満ちていました。柴崎先生の講義は、GIS(地理情報システム)や携帯電話やクルマに搭載したGPS(全地球測位システム)が、今、どのように使われているのかを、国内外の様々な事例を織り交ぜながら、分かりやすく説明するものでした。

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「空間情報学」の特別講義をする柴崎亮介先生(左)。学生からの質疑応答も活発(右)(写真:家入龍太)

中でも、東日本大震災に関する話題はこれらのシステムが社会に浸透していたことをうかがわせるものでした。その一例は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

GISが保険金や義援金

 

の支払いに役だったというエピソードです。

通常、被害を受けた建物の保険金支払いなどは、市役所などが現地を確認して発行する「罹災証明書」が必要です。しかし、今回の東日本大震災では被害が甚大だったとともに、役所の機能も大幅に低下したため、通常の手続きでは間に合いませんでした。

そこで、震災の前後に撮られた航空写真をGIS上に張り付けて、保険会社の人が画像からその建物が被災したのかどうかを判断し、迅速に保険金を支払うことができたそうです。しかも、インターネット上で公開されている情報なので、偽造も不可能という効果もあったそうです。

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被災前(左)、被災後(右)の航空写真(写真:(独)防災科学技術研究所によるALL311サイトから転載 http://all311.ecom-plat.jp/

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GIS上に張り付けられた航空写真(資料:ゼンリン)

クルマに搭載されているGPSの位置情報も、「通行実績のある道路」として公開され、支援物資の輸送やボランティアの交通手段の確認などに役立ちました。この情報は震災のために特別に収集されたものではなく、日常から全国的に通行情報が収集されているものだそうです。

このほか、2007年から3G携帯にはGPS機能の搭載が義務づけられており、その情報も意外なところで活用されています。例えば、110番や119番などの緊急通話にはGPSの位置情報が自動的に付加されています。ゼンリンデータコムが提供している「混雑度マップ」は、携帯電話が発信するGPSの位置情報に基づいて作られています。

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クルマのGPS情報から作られた通行実績マップ(資料:(独)防災科学技術研究所によるALL311サイトから転載 http://all311.ecom-plat.jp/ 

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ゼンリンデータコムの「混雑度マップ」(資料:ゼンリンデータコム)

携帯電話を利用したナビゲーションサービスを利用している人から承諾を得られれば、その位置データを集計し、

 

ほぼリアルタイムで人の分布

 

を知ることができるわけですね。

GPS付きのケータイを使って位置を追跡できることは知っていましたが、こんなに多くの人々の分布までわかるとはオドロキでした。

いやー、時代は進んでいるんだなと、あらためて感心しました。 

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講義終了後のディスカッション(左)講義を担当する関西大学総合情報学部の田中成典教授(左写真左側)と柴崎先生(写真:家入龍太)

 (お断り)初出の記事で、一部に内容が不正確な点がありましたので修正しました。

 

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