50万ドルのコスト削減!BIMで実現した「ジャストインタイム設備工法」の現場
2012年5月11日

管理人のイエイリです。

私ごとですが、6月末に某出版社からBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)関連の本を出することになりました。国内外の様々なBIM活用事例を盛り込んでいるので、写真や画像の使用許可を取る相手先は約100社にも上ります。

例えば、米国の大手設備会社であるマッキンストリー社(McKinstry Company)には、BIMで意匠、構造、設備の干渉のない設計を行い、設備をある程度工場でプレハブ化した例として、下記のような写真の使用許諾をお願いしました。

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プレハブ化した設備の例(Photo:Courtesy of McKinstry Company)

先方からは数時間後には「OK」の返事がメールで来ました。しかも、「本が出たら買いたいので注文の仕方を教えてくれ」というありがたさです。当日にすぐ物事が決まっていくスピード感は、さすがアメリカ流ですね。

それだけではありません。使用許可の返事だけでなく、オマケの写真まで付いていたのです。その内容とは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

設備をまるごとユニット化

 

したプレハブ工法なのです。

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工場製作中のラック。配管やダクトなど設備一式をあらかじめ取り付けておく(Photo:Courtesy of McKinstry Company)

上記の写真のように、設備のプレハブ工法をさらに拡張し、長さ20フィート(約6m)×幅8フィート(約2.4m)×高さ4フィート(約1.2mの)のラック(Overhead Rough-in Rack)にダクトや配管など設備一式をあらかじめ工場で作っておき、現場に運んで設置する方法です。

これまでの設備工事のように、設計時間も十分にとれないまま、「現場合わせ」で配管やダクトの取り合い部分を調整する方法では、とてもこんなことはできません。

つまり、BIMによって干渉部分をなくし、配管やダクトのルートをきっちり決めておくことで初めて可能になる「ジャストインタイム」というわけですね。

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現場に「ジャストインタイム」で設置されたラック(Photo:Courtesy of McKinstry Company)

この工法はあるバイオ研究施設の工事に採用された結果、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

50万ドルのコスト削減

 

と、予定より1カ月も早い工期で工事が行えたそうです。

これこそ、BIMのフロントローディング(設計の前倒し)が、施工におけるコストダウンや工期短縮の効果を生んだ例ですね。

こんな革新的なチャレンジを行っているマッキンストリー社は、ホームページも面白い構成になっています。各ページの左側には、四角い板を何層も積み上げたようなアイコンが表示されています。

これは何だろうなとクリックしてみたところ、大きなビルの内部イラストが現れ、人が実際に歩いていたりします。その各階は同社の各事業を表す「目次」になっており、クリックするとその事業の詳しい内容が見られるようになっています。

建設会社や建築設計事務所などのホームページ作りにも参考になりそうですよ。

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マッキンストリー社のホームページ。各階が事業部門別の「目次」になっていて(左)、クリックすると事業の詳しい内容が表示される(右)(Images:Courtesy of McKinstry Company)

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