管理人のイエイリです。
先週、BIMユーザーをビックリさせるニュースが飛び込んできました。大手測量機器メーカーの米国トリンブル社(Trimble)が
ナ、ナ、ナ、ナント、
Google SketchUpを買収
すると、4月26日(米国時間)に発表したのです。
Google SketchUpをトップページで大歓迎する米国トリンブル社のホームページ(資料:Trimble) |
Google SketchUpのウェブサイトでもトリンブル大歓迎のイメージが(資料:Google) |
フリーの3次元デザインソフトとして有名なGoogle SketchUpは、世界中に数百万人のユーザーがいます。今回の買収で、フリーソフトとして親しまれてきたSketchUpが今後、どうなるのかを心配するユーザーも多そうです。
しかし、あまり心配することはなさそうです。トリンブル社の副社長、プリン・フォスバーグ氏(Bryn Fosburgh)は「これからもフリーソフト版のSketchUpを数百万人ものユーザーに提供していくことを約束する」と語っています。
また、ユーザーがSketchUpで自作した建物などの3Dモデルを公開する「3Dギャラリー(3D Warehouse)」も、当面はグーグル社がトリンブル社と協力して運営していくそうです。
「3Dギャラリー」にはSketchUpで作成された3Dモデルが約200万個公開されている(資料:Google) |
なぜ、測量機器メーカーのトリンブルがSketchUpを買収したのか、不思議に思う人もいるでしょう。それはトリンブルの長期戦略として、「オフィスと現場をつなぐソリューション」の構築を掲げているからです。
トリンブル社は去年、詳細設計用BIMソフト「TeklaStructures」のベンダーであるテクラ社(Tekla)を買収したほか、BIMソフトベンダーのエースキャド・ソフトウェア社(AceCad Software)から、3次元鋼構造設計ソフトの「StruCad」と「StruEngineer」の事業を買収しました。
トリンブル社は以前からテクラ社とは協力関係にあり、BIMモデルデータを使って現場の墨出しを行う「フィールドコントローラー」という測量システムを発売しています。
そして、今回、SketchUpを買収したことで、BIMによる設計ワークフローの
最上流から工事現場まで
をカバーするソリューションに広がったというわけです。
この発表に先立つ4月23日、私は東京でフィンランド・テクラ本社の社長、アリ・コホネンさん(Ari Kohonen)に、インタビューしました。
その中で、昨年、トリンブル社に買収された後、同社から何を期待されているかを聞きましたが、売上高などの目標は求められるものの、特にこれまでのテクラの事業には口をはさまれることはないとのことでした。
フィンランド・テクラ本社の社長、アリ・コホネンさん(写真:家入龍太) |
現在、SketchUpには、BIMの共通データ交換フォーマットである「IFC形式」には対応していませんが、BIMソフトとの相性がいいため、多くのBIMユーザーに受注前の企画提案やプレゼンなどに使われています。
トリンブル社では、今後、SketchUpと自社ソリューションとの連携を良くしていくそうですので、SketchUpがBIMソフトとして、さらに使いやすくなることが期待できそうですね。