管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やAR(拡張現実感)などのグラフィカルなプレゼンツールとして、スマートフォンや携帯端末の活用が広がっていますが、さらにエンジニアリング的な分野でも活用が広がっていきそうです。
その一例は、オートデスクが無償公開しているiPhone/iPad、Android対応のアプリ「Autodesk ForceEffect」です。(各英語版。Android版はGoogle playで入手可)
ナ、ナ、ナ、ナント、
写真をトレースして構造計算
できるアプリなのです。
橋や架線柱、高所作業車などの写真を撮り、それを背景としてトラスやラーメンなどの部材をトレースしながら入力していきます。接点はピンと剛結を指定できるほか、固定支承、移動支承も設定できます。
各部材や接点などに集中荷重や分布荷重、モーメントを設定すると、各部分の支点反力や曲げモーメントなどが即座に計算できるのです。現在のバージョンでは部材の剛性が反力などに影響しない「静定構造(static system)」だけに対応しています。
また、写真を使わずに白紙の状態で構造モデルを入力することも可能です。操作はグラフィカルにできるので英語版でもほとんどストレスを感じません。
「Autodesk ForceEffect」の起動画面(左)と高所作業車の写真を下敷きに入力したモデル(右)(写真・資料:Autodesk。以下同じ) |
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架線柱の写真を下敷きに入力したモデル(左)と計算結果(右) | |
バックホーのアームをモデル化した例 | |
Facebookにもページが開設されている |
計算結果は印刷やEメールでの送信ができるほか、DXFファイルでの出力、WEBブラウザーで見ることができます。現場でサクッと反力などを知りたいときに、便利に使えそうですね。
4月13日に行われたバージョンアップでは、姉妹ソフト「Autodesk ForceEffect Motion」との連携機能が搭載されました。
このソフトは、
機構の動きを解析
するものです。
油圧シリンダーである部材を動かしたり、回転を与えたりすることで、他の部材がどのように動くのかを解析できます。「トレース・ポイント(trace points)」という点を設定しておくと、その部分の変位や速度、加速度を計算し、グラフなどで表示することが可能です。
「Autodesk FoeceEffect Motion」で でw@ww@でで油圧シリンダーによる高所作業車の動きを解析した例(左)。複雑なクランク機構も解析できる(右) |
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トレース・ポイントの変位(青線)、速度(赤線)、加速度(黄線)をグラフ化したもの |
これらのアプリは、現場で便利に使えるだけでなく、学校での構造力学や構造動力学などの授業でも大いに使えそうですね。一つの力学問題をコツコツ解いていくのも大切ですが、多数の構造を短時間で学ぶのにも有効なツールです。授業も楽しくなりそうですね。