CIM時代を先取り!点群データを使った出来形管理システムが登場
2012年6月15日

管理人のイエイリです。

フォーラムエイトの「UC-win/Road」と言えば、道路や街並みを3Dでモデル化し、その上に人やクルマが動き回るリアルな動画を再現できるリアルタイムバーチャルリアリティー(VR)システムです。

視点をクルマの運転席に移すと、本格的なドライブシミュレーターとして様々な交通状況や気象条件の下での運転体験も可能です。

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3DリアルタイムVRシステム「UC-win/Road」(資料・写真:フォーラムエイト。以下同じ)

6月8日、このVRシステムに驚くべき新機能が登場しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

点群データで出来形管理

 

を行えるシステムなのです。

UC-win/Road 3D点群・出来形管理」というプラグインソフトで、3Dレーザースキャナーで盛り土や切り土などを計測した「点群データ」と、3次元の設計データを重ね合わせて比較することにより、出来形管理を行うものです。価格は29万4000円(税込み)となっています。

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盛り土面の設計データと点群データを重ね合わせたところ

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差分データの処理手順(左)と3Dレーザースキャナーによる計測作業(右)

設計データはLandXMLなどの3次元データを読み込めるほか、UC-win/Roadに搭載されている「道路編集」機能によって測点位置における横断面形状を座標で入力することもできます。

また、測点位置での横断面上の点群データから最小二乗法で連続折れ線を自動生成し、出来形断面を自動生成します。

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測点位置での設計値と計測値との比較

このようにして処理したデータは、国土交通省の「土木工事共通仕様書」に準拠した出来形管理図表や度数表(ヒストグラム)など6種類の形式で出力できます。また、Excel形式でも出力できるので発注機関に応じた帳票にカスタマイズすることも可能です。

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国交省の共通仕様書に準拠した度数表(左)とExcel形式で出力した管理図表(右)
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擁壁の出来形管理に使った例

3Dレーザースキャナーは1台数百万円もする高価な機器ですので「使いたくても自社で導入するのはちょっと無理」という会社もあるでしょう。そんなときは計測を外注する方法もありますが、もっと手軽なシステムも利用できます。

それは、

 

デジカメによる写真測量

 

を使う方法です。

日本建設情報総合センター(JACIC)が開発したデジタルカメラによる写真測量システム「Photog-CAD」と連携する機能が付いており、Photog-CADで出力される地表面TNデータを出来形として認識させることで、3Dレーザースキャナーの代わりに使えます。Photog-CADは1セット15万7500円(税込み)とリーズナブルな価格ですので、手軽に使えそうですね。

公共土木分野では、「土木のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」こと「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」導入の気運が高まっています。今回の3D点群による施工管理は、CIM時代を先取りするようなシステムと言えるでしょう。

ただ、面的な計測が簡単に行えるようになり、出来形が「見える化」したからといって、完成時の検査をこれまで以上に厳しくすることはあまり意味がなさそうです。あくまでも構造物として必要十分な品質と生産性に配慮して使っていきたいですね。

 

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