管理人のイエイリです。
建物をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で設計する大きなメリットは、各部材にインプットされた「属性情報」によって、コンピューターが建物の構造を人間と同様に理解できることです。
このメリットを生かしたのが、BIMモデルの空間的な問題や法規との不整合などを、コンピューターで自動的にチェックする「Solibri Model Checker」というソフトです。
これまで欧米などのBIMユーザーに愛用されてきましたが、いよいよ日本語版が開発され、日本のBIMユーザーもその恩恵にあずかれることになりました。
BIMモデルを様々な視点でチェックする「Solibri Model Checker」日本語版の画面(資料:グラフィソフトジャパン) |
ナ、ナ、ナ、ナント、
エーアンドエーとグラフィソフト
の2社が、相次いで日本語版を販売することになったのです。
両社は今週、相次いでイベントを開催し、同ソフトの開発元するフィンランドのソリブリ社から、CEOのヘイッキ・クルシャルビ(Heikki Kulusjarvi)氏を招いて大々的に発表しました。
8月27日にエーアンドエーが開催した製品発表会(左)と、8月28日にグラフィソフトジャパンが開催した「ArchiCAD16 新製品発表会(右)には、それぞれ多くのユーザーが集まった(写真左:エーアンドエー、写真右:家入龍太) |
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エーアンドエーの製品発表会で講演するソリブリ社CEOのヘイッキ・クルシャルビ氏(写真:エーアンドエー) |
BIMモデルのチェックというと、意匠、構造、設備の部材同士が空間的にぶつかっていないかどうかを確認する「干渉チェック」が頭に浮かびます。
Solibri Model Checkerはもちろん、こうしたチェックもできますが、さらにすごいのはチェックするためのルールを自由自在にカスタマイズできることです。
そのため「ドアや収納スペースの扉の開閉範囲に障害物がないか」「トイレの中に便座と洗面台はちゃんとあるか」「避難経路はちゃんと確保できているか」といった建物ユーザーや材料手配、法規や基準などに照らした細かいチェックもできるのです。
人間だとついつい見落として、施工段階になってから不具合に気がつくことがありがちなことも、Solibri Model Checkerならコンピューターならではの厳しい目でチェックし、フロントローディングで問題解決するのに役立ちそうですね。
壁が低すぎる(左)、柱が宙に浮いている(右)などの問題点をチェックした例(資料:エーアンドエー) |
不具合個所はその画像や理由とともにExcelシートに出力できる(資料:グラフィソフトジャパン) |
気になるお値段ですが、エーアンドエーの「ワークステーションライセンス。初年度サブスクリプション込み(予価)」、グラフィソフトジャパンの「スタンドアロン版」ともに、
75万6000円(税込み)
とのことです。
発売時期についてはエーアンドエーが「今秋」、グラフィソフトジャパンは「9月25日」としています。このソフトが発売されると、設計のチェック作業はずっと楽になり、設計ミスの見落としも大幅に減りそうですね。建築確認の業務効率化にも、大いに役立ちそうです。