水田区画図を自動作成!富士通が衛星画像からあぜを見分ける技術を開発
2012年8月31日

管理人のイエイリです。

夏も盛りをすぎ、水田地帯ではたわわに実った稲穂がこうべを垂れて始めています。土のあぜに囲まれたのどかな田畑の風景は、一見、数値的な管理とは無縁なようにも感じられますが、意外にも多くの測量作業が行われています。

それは、耕作面積や作付け品目を正確に把握する作業です。例えば、台風や集中豪雨などで田畑が被害を受けたときには、農業共済制度により共済金が支払われますが、この業務を行うために全国の農業共済組合連合会などは、毎年、加入農家の膨大な水田をまわって、手作業で農地区画図を更新しているのです。

富士通はこの作業を合理化するため、農地の衛星画像や航空写真から、水田区画図を自動作成する技術を開発しました。

そのキーとなるのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

水田とあぜの境界

 

を画像解析によって見分ける技術なのです。

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農地画像から水田の区画を抽出する(資料:富士通)

富士通では、北海道農業共済組合連合会(北海道NOSAI)と上川中央農業協同組合の協力を得て、8月9日から10月31日まで、実証実験を行っています。現場は北海道上川郡鷹栖(たかす)と、旭川市東鷹栖(ひがしたかす)です。

今回の実証実験では、画像の輪郭を強調する「フィルター処理」と、必要な輪郭を抽出する「エッジ抽出」の技法を高精度で統合し、富士通が独自に開発した画像解析技術を利用しています。

人工衛星や航空機で撮影した水田の画像から、水田とあぜの境界を認識し、水田区画図を自動的作成し、人の手で作った水田区画図と比較することにより、農業共済業務で使えるかどうかを検証します。

一見、のどかに見える農村の風景ですが、その作業や管理には様々な「農業ITシステム」が使われているのかもしれませんね。

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のどかな農村風景のイメージ。今回の実証実験の場所とは関係ありません(写真:家入龍太)

富士通では、今回の実証実験結果に基づき、2013年4月までに画像解析技術を使った水田区画図作成サービスの実用化を目指します。このほか水田以外の農地区画図作成への応用や、

 

耕作放棄地の発見

 

などにも活用できるよう検討します。

さらに、都市部における土地活用変更の発見など、さまざまな分野・業務への展開に取り組んでいくとのことです。

就業者の高齢化が進む農業では、今後数年間の間に農地の集約や近代的な経営手法、農作業の効率化など、大胆な改革が求められてくるでしょう。その基礎資料となる農地区画図の自動作成技術は、建設業でも大いに参考にしたいですね。

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