グニャグニャ建物も設計!3つの新機能でステップアップしたArchiCAD16
2012年9月3日

管理人のイエイリです。

先日、BIMモデルをチェックする「Solibri Model Checker日本語版」の発売を発表したグラフィソフトジャパンですが、同時に同社の主力製品である「ArchiCAD」の次期バージョンとなる「ArchiCAD16」も今年9月25日に発売します。

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ArchiCAD16の画面(資料:グラフィソフトジャパン)

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ArchiCAD16の発売を発表するグラフィソフトジャパンのコバーチ・ベンツェ代表取締役社長(資料:グラフィソフトジャパン)

今回のバージョンアップは、ArchiCAD13以来の大きなもので、3つの新機能が搭載されました。価格は税込み75万6000円で、小規模設計事務所向けに「Solo版」(同30万9750円)も発売されます。

1つ目の新機能は「モルフツール」です。ArchiCADはこれまで、全体がグニャグニャ曲がった変形の建物デザインが苦手と言われてきましたが、「ArchiCAD16」では粘土細工のように自由な立体形状を作り、基本設計や実施設計に利用できるツールなのです。

ツール名のモルフ(MORPH)とは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

「形づける、変形させる」

 

という意味なのです(eプログレッシブ英和中辞典より)。

同社には建物の壁や屋根などの「属性情報」を定義する前段階で建物をデザインし、属性情報を後付けできる機能への要望がユーザーから多く寄せられていました。モルフツールはその要望にこたえたものです。

既存のオブジェクトを「モルフ化」して編集し、BIMモデルを構築する際に必要となる「カスタムオブジェクト」も簡単に作れるとのことです。

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モルフツールで作った建物の外観(左)とモルフツールによる建物内部のデザイン過程(右)(資料左:生活産業研究所、資料右:グラフィソフトジャパン)

2つ目の新機能は、「BIMComponents.com」というBIMパーツ(GDLオブジェクト)を共有するウェブサイトとの連携です。世界中のユーザーが作った数千点のGDLオブジェクトをWEBサイト上で検索し、ドラッグ&ドロップで設計中のBIMモデルに取り込むことができます。自社で作ったカスタムオブジェクトを、社内で共有するクラウドシステムとしても使えます。

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BIMComponents.comのWEBサイト(資料:グラフィソフトジャパン)

3つ目は、建物からのCO2排出量など環境解析を行う機能です。これまでは「EcoDesigner」というアドオンソフトとして提供していた機能をArchiCADに実装したため、データ交換することなくArchiCAD内で

 

直接エネルギー解析を行える

 

ようになりました。同社によると環境分析ツールを内蔵したBIMシステムは初とのことです。

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ArchiCAD16に搭載された環境解析機能(資料:グラフィソフトジャパン)

冒頭に紹介した「モルフツール」ですが、建物全体のデザインをスタディーしてから面積集計を行うためには多少、煩雑な操作が必要です。そこで生活産業研究所ではこの作業を簡単に行えるアドオンソフト「MassPlan for ARCHICAD」を9月24日に発売することになりました。

モルフツールで作成したBIMモデルから、各階の面積集計や面積表の作成、ラフボリュームで入力されたモルフ・ゾーンオブジェクトに壁やスラブ、フロアスライスなどを自動生成することができます。価格は6万3000円(税込み)です。

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「MassPlan for ARCHICAD」の機能。モルフツールで作成したBIMモデルにゾーンを設定(左)したり、スラブを発生させたりできる(右)

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外壁の発生(左)や面積集計(右)も行える(以上4点の資料:生活産業研究所)

グラフィソフトジャパンは、ArchiCADを他社ソフトと積極的に連携させることによりユーザーにとっての使い勝手をよくする「OPEN BIM戦略」を採っています。今回、MassPlan for ARCHICADがArchiCAD16より1日前に発売されることは、OPEN BIM戦略のスピードを感じさせるものでした。

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ArchiCADと連携するソフト、ハード、システムが集結した新製品発表会の様子。8月28日、東京・銀座で(資料:グラフィソフトジャパン)

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