2週間の解析を半日で!清水建設が液状化設計を高速化
2012年9月4日

管理人のイエイリです。

地震時に地盤の液状化を防ぐ方法としては、地盤改良が有力な方法です。しかし、地盤全体を改良すると不経済なため、地盤中に格子状や板状、ブロック状の改良体を設けて部分的に改良するのが経済的です。

ここで課題になるのが改良体の形や固さなどの仕様をどう決めるかです。地盤を部分的に改良する場合、経済性と安全性を両立させるためには地盤を3次元モデル化して解析する必要があり、長い解析期間を要していたのです。

そこで清水建設は、地盤改良の設計を短時間で手軽にできる「シミズ改良地盤評価法」を確立しました。従来、2~3週間かかっていた解析時間を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

半日程度に短縮

 

し、最適な仕様を求められるようにしたのです。

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格子状(左)、ブロック状(中央)、板状(右)の改良地盤の概念図(資料:清水建設

評価に使用するのは、表計算ソフト「Excel」です。Excelシートに評価用の計算式を入力し、地盤データや改良体の仕様などを入力するだけの簡単な作業で、改良体を設計できるようにしました。

解析に必要なデータは、地震で地盤に作用する外力や地盤の固さ、液状化抵抗力などのわずか6項目だけで、すべて地盤調査結果から得られます。

続いて、対象となる場所で想定される地震の加速度や継続時間、改良体の形状や改良率、改良体の固さなどの仕様を追加入力することにより、改良地盤の初期せん断ひずみ量がわかります。

その値が最初に地盤データから求めた値より小さければ、地盤改良により液状化を防止できるわけです。設計者は改良体の仕様を変更しながら評価を繰り返すことで、液状化を確実に防止でき、

 

最も経済的な仕様を決定

 

することができます。

清水建設では評価法の検討に当たって、砂地盤の液状化に関する室内試験を行い、地震の初期にどの程度のひずみが発生したら地盤が液状化するかを地層ごとに定量化しました。これを評価法のベースとしています。

また、改良部分と非改良部分では、地震時に異なる挙動を示しますが、設計時には地盤全体を均質に扱う必要があるため、「均質化法」という応用数学の理論を使って地盤全体を「均質な固さの素材」として扱えるよう、設計に必要な地盤固さのデータを自動的に算出できるようにしたそうです。

実験と数学、そして表計算ソフトを組み合わせて、土木設計をスピーディーにできるようにしたのは、設計を効率化し、施工費も低減できそうですね。

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