管理人のイエイリです。
10月7日から21日まで、シンガポール、タイ、ベトナムの3カ国におけるBIM活用を中心に取材して回っています。
昨日(10/8)は日本は休日でしたが、シンガポールの皆さんは、バリバリと働いていました。この日の午後一番で向かったのは、アラップ・シンガポール社の事務所です。
同社は3棟にまたがるプールのある複合施設「マリーナ・ベイ・サンズ」の構造設計などを担当しました。この施設の設計・施工には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
徹底的にBIMが活用
されているのです。
マーライオンから見たマリーナ・ベイ・サンズ(写真:家入龍太) |
取材に対応していただいたアラップ・シンガポール社のシニアアソシエイト、アンドリュー・ヘンリーさん(左)とBIMリーダーのルピンダー・ウィルク氏(右)(写真:家入龍太) |
特に花びら形をしたアートサイエンス・ミュージアムは、ライノセラスで作成した原形のモデルを、ベントレー・システムズの「ジェネレーティブ・コンポーネンツ」によって鉄骨の中心線を作成し、複雑な曲面を持つ花びらの部材モデルを作成しました。
そしてアラップが開発した「GSA」という構造解析ソフトで解析した後、ベントレーの「MicroStation Triforma」で詳細な部材の寸法や位置を決定。そのモデルデータを鉄骨の詳細設計ソフト「Tekla Structures」に読み込んで、鉄骨会社のものづくりデータとして渡したそうです。
花びら形をしたアートサイエンス・ミュージアム(写真:家入龍太) |
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完成予想パース(資料:ARUP Singapore) | |
鉄骨のBIMモデル(左)と建設中の様子(右)(資料・写真:ARUP Singapore) |
異なるソフト間でデータ交換をスムーズに行うために、
データ交換ソフトを自社開発
しているそうです。
同社はこのほか、5万5000人収容の国立スタジアムを中心とした「スポーツ・ハブ」の設計にもBIMをフル活用し、部材の鋼重を減らすための最適化など、さらに進化したBIM活用を行っています。
シンガポールでは2015年にBIMによる設計が義務化されます。政府もBIMソフトを購入する企業に対して50%の補助を行っているそうです。
BIM先進国のシンガポールでは、もはやBIMは当たり前のツールになっていました。明日(10/10)は、鉄骨を製作したヨンナム社の工場も訪問します。どんな方法で鉄骨を作っているのか、興味津々です。