管理人のイエイリです。
11月28日の当欄で、オートデスクが建物などを簡単にデザインできるフリーソフト「FormIt」を開発、無償公開したことをお伝えしました。米国・ラスベガスで開催中の「Autodesk University 2012」(以下AU2012)で発表されたものです。
この発表の後に行われたデモンストレーションで、私は「SketchUpより優れている点」と、「トリンブル社がSketchUpを買収したこととの関係」について質問しましたが、トリンブル社についての質問についてはなぜか回答がありませんでした。
フリーの3Dデザインソフト「FormIt」の画面(左)と、デモンストレーション(右)(写真:家入龍太。以下同じ) |
その2日後、その回答とも言える重大発表が米国オートデスク社からありました。
ナ、ナ、ナ、ナント、オートデスクが
トプコンとBIMで連携
することで合意したというのです。
トプコンのウェブサイト(資料:トプコン) |
オートデスクのウェブサイト(資料:オートデスク) |
11月28日(米国東部時間)に米国オートデスク社が発表したプレスリリースによると、オートデスクのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト製品と、トプコンの現場用測量機器をさらに有効に連携させることで両社がコラボレーションすることに合意したとのことです。
ソフトベンダーのライバルと言えば、これまでは同業他社というのが常識でしたが、BIMのように設計から施工、維持管理まで建物のライフサイクル全般にかかわるソリューションの場合は、少し事情が違うようです。
測量機器大手メーカーの米国トリンブル社は、設計の上流段階を担う「SketchUp」から、モデリングや解析、詳細設計を担う「TeklaStructures」、そして施工現場では自社の測量機器というように、建設フェーズ全体をBIMでカバーできるように垂直統合戦略を着々と進めています。
米国オートデスクのジム・リンチ(Jim Lynch)副社長は「トリンブル社のBIM戦略は興味深い。オートデスクでも上流段階用にFormItを開発したほか、詳細設計分野ではDesign Data社やドイツのIdat社と提携し、現場の測量ではトプコンと提携した」と語っています。
米国オートデスク社副社長のジム・リンチ氏 |
この発言から、オートデスクは測量機器メーカーのトリンブル社を
BIMビジネスのライバル
として意識していることがうかがえます。
測量機器というハードを母体としたトリンブル陣営、3次元CADというソフトを母体としたオートデスク陣営がそれぞれ展開するBIMの垂直統合戦略で、いよいよBIMの勝負の場は現場に移ってきたのでしょうか。
今後、両陣営からどのようなソフトとハードが融合したシステムが生まれてくるのかに注目したいです。
11月28日に行われた記者会見でも、米国オートデスク社長のカール・バス氏(壇上左側)はトプコンとの連携についてふれた |