ICTを積極活用!国土交通省が公表した「今後の河川管理のあり方」を読んでみた
2013年2月8日

管理人のイエイリです。

河川内の河道や地形は、流水や洗くつの影響で時間とともに微妙に変わっていきます。また、複雑な自然の地形は、なかなか図面では表しにくいですね。

こうした性を持つ河川の安全を確保するため、国土交通省は2月5日、今後の河川管理のあり方(中間とりまとめ)を公表しました。国土交通大臣からの諮問を受けた社会整備審議会に設置された小委員会が、2012年8月9日から12月3日まで4回にわたって検討した内容をまとめたものです。

その内容は、国土交通省のウェブサイトで公開されており、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

議事録から配布資料まで

 

を、読むことができるのです。

そこですべての資料をダウンロードして読んでみました。中間とりまとめの内容は、大きく分けて(1)安全を持続的に確保するための管理、(2)危機管理対応力の向上、(3)資源・エネルギーとしての河川の利活用、という3つの大きな柱からなります。

この中でICTを積極的な活用が提唱されているのは、(1)の河川の管理方法の部分です。例えば、河川台帳などをデータベース化し、ICTを使って現場からデータ入力できるようにすることや、広域センシング技術を使って河道や堤防の効率的な点検や診断を可能にすること、そしてICTを構造物の監視や点検に使う、といった方向性が示されています。

9月28日に開催された第2回の委員会では、国交省水管理・国土保全局が提出した「河川の管理にかかる最近の取り組み例」という資料の中で、様々な河川関連の技術が紹介されています。

例えば、航空レーザー測量やMMS(モバイルマッピングシステム)など3Dレーザースキャナーを使った河川地形の計測や、地中レーダーを使った堤防内部の空洞調査、そして様々な非破壊検査技術によるコンクリート構造物の劣化診断などです。

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今後の河川管理のあり方を示す「中間とりまとめ」の概要(資料:国土交通省。以下同じ)

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航空レーザー測量で広域な河川地形を計測するイメージ。第2回委員会の参考資料より
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MMSによる堤防形状の計測イメージ。第2回委員会の参考資料より
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コンクリート構造物の劣化診断の例。第2回委員会の参考資料より

やはり、河川の複雑な形状を管理し、災害時のハザードマップ作成などを効率的に行っていくためには、3Dの計測技術やモデリング技術やクラウドコンピューティングなどの技術が欠かせないのかもしれませんね。

国土交通省では、昨年から

 

CIMの導入

 

が積極的に行われています。

CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)とは、建築のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と同様に、構造物の形状を3Dでモデル化し、構造物の各部分に仕様などの「属性情報」をインプットし、構造物の情報をまとめて扱うことで、業務の生産性向上を目指すのが狙いです。

今回の「河川管理のあり方について」の中間とりまとめも、河川の現状をデジタルデータとして把握し、コンピューターの力を生かして業務の効率化や情報共有を行うことで生産性向上を目指す方向性はCIMと同じなのかもしれません。

中間とりまとめの文書の中では「CIM」という言葉は出て来ませんが、今後、CIMの維持管理での活用とどのようにつながって行くのかを期待したいですね。

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