1位は意外なアプリの記事!2018年 建設ITワールドの「人気記事ベストテン」発表
2018年12月28日

管理人のイエイリです。

建設ITワールドに掲載している記事で注目されるのはなんと言ってもBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やi-Construction関係の話題です。

しかし、年間を通じたアクセス数を集計してみると、意外にも別の記事が注目されていることがあります。これらは建設ITの

建設ITの長期的トレンド

を占っているものかもしれません。

では、2018年に掲載した「建設ITブログ」の記事の、年間アクセス数ベストテンをご紹介しましょう。

第10位  ドローン測量で±1cmの精度!大林組がGNSS内蔵マーカーとクラウドで実現  7/20
空撮に使用されたGNSS内蔵の対空標識「AEROBO marker」(写真:ZMP)

空撮に使用されたGNSS内蔵の対空標識「AEROBO marker」(写真:ZMP)

大林組が、複数社のドローン測量について共同比較検証を行ったところ、ZMP(本社:東京都文京区)が提供するドローンシステムで、±1cmの精度を実現し、現場での作業時間は半減したというニュースでした。

空撮に使用されたGNSS内蔵の対空標識「AEROBO marker」は、大阪の大末建設が杭の墨出し作業に使うなど、測量機器としての活用も話題になりました。

第9位  30分で3Dデータ化まで!コマツが毎日測れるドローン測量サービスを開始  4/19
ドローンによる測量から点群データ作成までの流れ(資料:コマツ)

ドローンによる測量から点群データ作成までの流れ(資料:コマツ)

ドローン(無人機)による3D測量は、現場の空撮から点群データ化まで丸1日かかるのが普通だったのが、コマツの新サービス「EverydayDrone」によって約30分で完了するようになったというニュースです。

実物の現場を、バーチャルなCIMモデルに変換する時間が短縮され、土工のIoT(モノのインターネット)化を加速したという意義がありました。

第8位  BIM、AIとも連携!NTTドコモが工事現場のヒト、モノの動きをIoT化  2/21
建設現場IoTプラットフォームの画面例。作業員の位置や作業状況、やることリストがリアルタイムに表示される(資料:NTTドコモ)

建設現場IoTプラットフォームの画面例。作業員の位置や作業状況、やることリストがリアルタイムに表示される(資料:NTTドコモ)

NTTドコモが建設現場の情報をリアルタイムに収集し、共有できる「建設現場IoTプラットフォーム」のβ版(試作版)を開発したというニュースです。

モノだけでなく、職人や技術者の位置情報や手首に付けた「バイタルバンド」と呼ばれるセンサーによって、心拍数や歩数などの活動量情報を取得するのが特徴です。ブラックボックスだった人の動きをIoT化することにより、安全管理の向上とともに生産性向上も期待できます。

第7位  警察もビックリ!群馬・南雲建設が導入したダンプ過積載防止対策  2/8
バケットで土をひとすくいすると、バックホーの運転席には土の重量が表示される(資料:南雲建設)

バケットで土をひとすくいすると、バックホーの運転席には土の重量が表示される(資料:南雲建設)

社員30人に対して5台(現在は6台)のICT建機を保有する南雲建設が、バックホーのバケットがすくった土砂の重量を自動計測する装置を導入し、ダンプの過積載を防ぐという話題でした。

ダンプの容量をぎりぎりまで、自信を持って使えるので、生産性の向上にも寄与しています。生産性向上を実現した同社は、来年から完全週休2日制の導入も視野にいれているとのことです。

第6位 BIM、点群、ARで配筋検査!大林組のシリコンバレー拠点が早くも成果  7/23
タブレットパソコンと3眼ステレオカメラが合体したスキャン装置を鉄筋に向ける技術者(写真:大林組)

タブレットパソコンと3眼ステレオカメラが合体したスキャン装置を鉄筋に向ける技術者(写真:大林組)

ステレオカメラやIMU(慣性計測装置)とタブレットパソコンを連携し、鉄筋の写真を撮ると鉄筋の点群データが出来上がり、BIMモデルと比較することで出来形検査を行うという画期的なシステムです。

このシステムが短期間で実現した陰には、米国カリフォルニア州のシリコンバレーにあるベンチャー企業との連携や、工学博士号や1級建築士の資格を持つ若手技術者の活躍がありました。

第5位 スマホが3Dスキャナーに変身!大林組が「スマホ de サーベイ」を開発  2/23
計測作業はスマホを持って現場を歩くだけ(資料;大林組)

計測作業はスマホを持って現場を歩くだけ(資料;大林組)

大林組が赤外線センサー付きのスマートフォンを使って地形を素早く3D計測できるアプリ「スマホ de サーベイ」を開発したというニュースです。スマホを持って現場を歩くだけで、地形の点群データを取得することができるという簡便さが注目されました。

第4位 HoloLensを側溝の施工に活用!大林組が丁張りレス施工に成功  3/9
HoloLensを着用した職人さんの目には、側溝を設置する際の基準線となる“仮想水糸”が見えている(写真:家入龍太)

HoloLensを着用した職人さんの目には、側溝を設置する際の基準線となる“仮想水糸”が見えている(写真:家入龍太)

現実の風景の上に3Dモデルを重ねて見られるAR(拡張現実)用のゴーグル型コンピューター、「Microsoft HoloLens」を使って、丁張りや水糸を張ることなく排水用の側溝を設置したというニュースです。

見通しが悪く、カーブしている現場でも、ARを使うと楽に作業できることがわかりました。従来の「土方カーブ」の代わりになりそうです。

これからは、いよいよベストスリーの発表となります。

第3位 大林、清水、大成が構造BIMで大同団結!柱や梁のRevit用ファミリを共通化  12/5
属性情報が共通化された梁(上)と柱(下)のファミリ。端部の形状や継ぎ手の数などによって数種類のファミリを用意した(以下の資料:大林組、清水建設、大成建設)

属性情報が共通化された梁(上)と柱(下)のファミリ。端部の形状や継ぎ手の数などによって数種類のファミリを用意した(以下の資料:大林組、清水建設、大成建設)

第3位は、梁や柱などの構造部材のBIMパーツの属性情報などの仕様を、大林組、清水建設、大成建設の3社が統一したという、あっと驚くニュースでした。その目的は、属性情報の仕様が各社でバラバラだと、建設会社と鉄骨製作会社の間でのデータ変換に手間ひまがかかるという問題を解決するためです。

BIMによる生産性向上は、もはや1社だけの努力では限界があり、今後は業界全体でのデータ流通性がカギとなることを示したものでした。12月5日に掲載したばかりの記事ですが、第3位にランクインしたというのは注目度の高さを示しています。

第2位 点群データを無償公開!静岡県が運営するサイトを使ってみた  2/14
静岡県が、工事の際に使った貴重な点群データを再利用するために開設したウェブサイト、「Shizuoka Point Cloud DB」に掲載されている点群データ(資料:静岡県交通基盤部建設支援局技術管理課)

静岡県が、工事の際に使った貴重な点群データを再利用するために開設したウェブサイト、「Shizuoka Point Cloud DB」に掲載されている点群データ(資料:静岡県交通基盤部建設支援局技術管理課)

工事の際に現場を計測した点群データを有効に再利用するため、静岡県が「Shizuoka Point Cloud DB」というウェブサイトを開設したというニュースでした。貴重な点群データがだれでも無料でダウンロードできるということで、高い関心を集めました。

データの著作権については国際標準の「クリエイティブ・コモンズ4.0」の条件の範囲で無償利用が可能です。データが蓄積されてくると、“バーチャル静岡県”としての価値が高まってきそうです。

それでは、いよいよ2018年の建設ITブログ、第1位の発表です。

意外なことに、その記事は

ナ、ナ、ナ、ナント、

職人さん向けスマホアプリ

について紹介したものだったのです。

第1位 単価で現場を選べる!職人さんに広がるスマホアプリ「助太刀くん」 1/22
「助太刀くん」(現在は「助太刀」)のイメージ画像(資料:東京ロケット)

「助太刀くん」(現在は「助太刀」)のイメージ画像(資料:東京ロケット)

東京ロケットというベンチャー企業が、職人さんに仕事情報を提供する「助太刀くん」(現在の名称は「助太刀」)というスマホ用のアプリを開発したというニュースです。

これまで、職人さんは細かい職種に分かれており、仕事の情報も重層下請け構造の中で囲い込まれていることが多いため、他の元請け会社の仕事をする機会が少ないという事情がありました。そのため、人手不足と言われながら、仕事が少ないと困っている職人さんも多かったのです。

このアプリは建設会社と職人さんをダイレクトにつなぐもので、請求書の作成や送付機能のほか、受発注者がお互いに相手を5段階評価する機能も設けました。そのため、悪質な会社や職人は自動的に排除される仕組みです。

このアプリが年間1位に輝いたことは、現場の最前線で働く職人さんの間でもICTが本格的に機能し始めたことを象徴しているようです。この調子でいけば、今後、施工BIMやi-ConstructionなどのICTも、現場にどんどん、なじんでいくのではと感じました。

【ごあいさつ】
建設ITワールドの記事は、今日が最後となります。今年も1年間、ご愛読いただきありがとうございました。2019年は1月7日から再開します。皆様、よいお年をお迎えください。

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