管理人のイエイリです。
携帯電話各社が2020年にサービスを開始する予定の第5世代(5th Generation)無線移動通信技術(以下、5G)は、現行の4Gに比べて理論値では通信速度が約100倍、通信容量は約1000倍と、驚異的なスペックになります。
建設業界でも5Gを工事現場で活用するための準備が着々と進んでいるようです。
例えば大林組はもKDDI、日本電気(NEC)と共同で、2017年5月から建機の遠隔操作の実証実験に取り組んでおり、2018年2月には「3Dの4Kモニター」と「5G通信」を使った建機の遠隔施工に、日本で初めて成功しました。(詳細は当ブログ2018年2月19日付の記事を参照)
そして、今回、さらに3社の実験はパワーアップしました。2018年12月3日から12月14日まで、大阪府茨木市で建設中の安威川ダムの工事現場で、5G回線を利用し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
バックホーとダンプカー
の2台を遠隔操作で共同作業を行わせることに成功したのです。
各建機には前方に2Kカメラを3台、全天球カメラを1台搭載し、合計8台のカメラからの映像と音声信号を5Gでリアルタイムに伝送しました。
その結果、オペレーターの操作と建機の反応、そしてモニターに映し出される映像のずれは非常に小さくなり、まるで実機に乗っているかように建機同士の距離感をつかみながら、バックホーがダンプカーに土砂を積み込むなどの作業を行えたそうです。
従来のWi-Fiなどを使った遠隔操作は、操作と映像のずれが大きいため、オペレーターの疲労度が高くなり、作業効率も落ちるという問題がありましたが、5Gだと大幅に改善されるようです。
一方、建機の操作方法も進化しています。今回、国内で初めて対話型の音声制御システムをICT施工の現場に導入し、5Gを搭載した建機を
音声だけで遠隔操作
することにも成功したのです。
これによって1人のオペレーターが2台の建機を同時に操作することが可能になりました。
他の建設会社でも5Gを使った建機の遠隔操作技術の開発は進んでいます。例えば大成建設は、2018年9月にソフトバンクの5Gを使ってロボットアームが物体を持つときの「力加減」をオペレーターに伝える実験に成功しています。(大成建設のプレスリリースはこちら)
大林組も慶應義塾大学とモノの硬さや柔らかさを伝える技術を開発(詳細は2018年10月16日付けの当ブログ記事を参照)していますので、これを5Gに載せるのは時間の問題かもしれませんね。
「ほとんど遅れがない」5Gと、繊細な操作が要求される建機との相性はとてもいいようです。今後も各社の技術開発動向が注目されます。