セメントで部材を造形!大成建設が建設用3Dプリンターを開発
2018年12月11日

管理人のイエイリです。

建物や構造物をコンクリート状の材料で作れる巨大3Dプリンターは、世界のいろいろな国で実用化されていますが、日本ではあまり目立った動きはありませんでした。

しかし日本でも、水面下では着々と開発が進んでいたようです。

大成建設は昨日(2018年12月11日)、驚きのプレスリリースを発表しました。同社とアクティオ、有明工業高等専門学校、太平洋セメントは共同で

ナ、ナ、ナ、ナント、

建設用3Dプリンター

「T-3DP(Taisei-3D Printing)」を開発したのです。

建設用3Dプリンター「T-3DP」の外観(以下の資料:大成建設)

建設用3Dプリンター「T-3DP」の外観(以下の資料:大成建設)

この3Dプリンターは、セメント系の材料をノズルから押し出しながら、部材の断面に沿って積層していくことで、型枠を使わずに様々な形の部材を高精度に造形できます。

最大造形サイズは幅1.7m×長さ2.0m×高さ1.5mです。実証実験では中空の楕円断面にひねりを加えた柱(幅30cm×長さ40cm×高さ1.3m)を8分割し、合計120分で製作しました。

8分割して造形された中空の柱

8分割して造形された中空の柱

今回の開発では(1)特殊なセメント系材料、(2)ノズル、(3)プリンターシステムの開発を行い、これらを組み合わせて「T-3DP」を完成されました。

(1)の材料は、ノズルから出た後は短時間で固化する特殊な性質を持たせたため、一度に高く積層できます。

(2)のノズルは吐出量を常に一定に保てるため、脈動する工事用のコンクリートポンプと組み合わせて使えます。ノズル先端から材料が垂れない仕組みになっているため、不連続区間を移動しながら複数の部材を同時並行で作れます。

複数部材を同時並行で造形できる

複数部材を同時並行で造形できる

(3)のプリンターシステムは、制御用パソコンに造形する部材の3Dデータを読み込み、造形物の大きさに応じてノズルから吐出する材料の量を自動的に制御できるようにしました。

断面形状を自由に変えられる3Dプリンターならではの設計手法も開発しました。荷重を支えるために不要な部分を除去し、最終的に軽くて強い形を見つけるため

トポロジー最適化

という手法を使いました。

トポロジー最適化手法を用いて、最も有効に荷重を支える形状を見つけ出し、造形した例

トポロジー最適化手法を用いて、最も有効に荷重を支える形状を見つけ出し、造形した例

やはり、ムダのない形というのは、長年、進化してきた植物に似てくるのか、木の幹のような形をしていますね。

日本でも本格的な3Dコンクリートプリンターが登場したことで、これからの日本の建設現場は、さらに変化が加速していきそうですね。

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