管理人のイエイリです。
少子高齢化による労働力不足と、働き方改革をどう両立するかは、日本の建設業にとって待ったなしの課題です。
そこで鹿島は、これらの課題をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やICT(情報通信技術)、ロボット技術をフルに活用して生産プロセスを変革する「鹿島スマート生産ビジョン」という現場管理手法を開発しました。
これまでの工事現場と大きく違うのは、ロボットやドローン、センサーなどを大幅に導入し、人間頼みの建設業から脱皮しようとしている点です。
作業(Work)、技術(Engineering)、管理(Management)という3つの軸からなるビジョンですが、なかでも画期的なのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
作業の半分はロボットと
というフレーズです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
これまですべてを人間に頼ってきた作業のうち、資材運搬などの単純作業や耐火被覆吹き付けなどの苦渋作業はロボットに任せ、特殊な部材の施工や複雑な調整を要する作業は人間が行うという、切り分けを行います。
2つめのフレーズは「管理の半分は遠隔で」というものです。これまでは現場の状態を把握するのに、人間が一つ一つ目視しながら記録していました。
そのうち、単純な作業進ちょく状況などは、ドローンなどによる巡回など、遠隔管理を導入することで、省人化するとともに、得られた情報は協力会社や資材メーカーなどの関係者とリアルタイム共有して、「移動のムダ」などをなくします。
そして、3つめのフレーズは「すべてのプロセスをデジタルに」というものです。建物や現場の情報をデジタル化してBIMモデルに統合します。
詳細な仕様決定や干渉・不整合などの問題解決を迅速化するとともに、ロボットや現場管理ツールとデータ連携し省人化を図ります。
つまり、BIMを工事現場の
デジタルツイン
つまり“電子の双子”として再現し、人間だけでなくロボットや関連システムにも現場情報をリアルタイムに伝えて協働していくという発想ですね。まさに、建築工事のIoT(モノのインターネット)化がまた一歩、前進したというわけです。
「鹿島スマート生産ビジョン」は今、鹿島の自社開発物件である(仮称)鹿島伏見ビル新築工事(名古屋市中区。のべ床面積:1万6891m2)の現場で18項目にもわたる実証が行われています。
●実証する18項目 | |
・鉄骨溶接ロボット(柱全周・梁上向き) ・耐火被覆吹付ロボット ・コンクリート押えロボット ・ウェアラブルバイブレータ ・外装取付アシストマシン ・疲労軽減アシストスーツ ・鉄骨建方精度モニタリングシステム ・資機材位置・稼働モニタリングシステム ・顔認証入退場管理システム |
・ドローン自動巡回システム ・搬送管理システム ・現場内モニタリングシステム(ウェアラブル/固定カメラ) ・バイタルセンサー体調管理支援システム ・BIM/出来形検査連携システム ・BIM/VR活用(もの決め、安全教育) ・BIM/ARチェックシステム ・BIM/鉄筋加工連携システム ・技能伝承システム(ノウハウ収集活用) |
まさに、建設ICT技術の総合商社といった感じですね。鹿島では、2025年を目標としてより魅力的な建築生産プロセスの実現を目指し、社外のパートナー企業とオープンイノベーションを進めていくとのことです。