BEMSでも活用!3G回線付き”プロ用電子ブロック”のNPO法人設立
2013年3月18日

管理人のイエイリです。

以前、このコーナーの記事で「Arduino(アルディーノ)」というオープンソースの電子回路開発キットのことを紹介しました。

8ビットのCPUやUSB端子が付いた数センチ角の基盤に、加速度や温度・湿度などのセンサーやLAN端子、スイッチ、LED(発光ダイオード)など、様々な部品をつないで目的の電子回路を作れるほか、プログラムをパソコンから書き込むことで様々な機器を制御できるものです。

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Arduinoで組んだ回路の例(写真:家入龍太)

電子部品が並んだ基盤なので、一見、難しそうに見えますが、様々な回路の「実態配線図」が公開されたり、「シールド」という完成回路の部品が売られていたりして、使い方は簡単です。

いわば“プロ用電子ブロック”のように気軽に使えるので、今では電子・電気以外のデザイナーやクリエイター、文系の学生などもArduinoを使って様々なものづくりに励んでいます。

高本孝頼氏らは、2011年にArduino用に3G回線による通信機能を持たせる「3Gシールド」という通信モジュールを開発し、普及活動を続けてきました。

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IEM版3G シールド(左)とUSB版3Gシールド(右)(写真:家入龍太)

その活動がさらに進化し、先週の3月15日、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3Gシールドアライアンス

 

というNPO法人を設立したのです。(ホームページはこちら

代表理事は高本孝頼氏が務め、3月15日現在で一般会員が11社、賛助会員が大学の先生5人となっています。

3Gシールドの普及や開発支援、技術情報の提供を行うほか人材育成、M2M(マシン・ツー・マシン)ビジネスの開発環境の提供などを行っていきます。まずは4月2日に設立セミナーを行うほか、6月11~12日に高度ポリテクセンターでの技術セミナー、8月下旬にはArduinoと3Gシールドによるコンテントなども企画しています。

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NPO法人3Gシールドアライアンス代表理事を務める高本孝頼氏(写真:家入龍太)

 

●参加メンバー(2013年3月15日現在)

分類 団体名(賛助会員は個人) (50 音順)
一般会員 株式会社インターネットイニシアティブ、
金沢工業大学、
株式会社構造計画研究所、
株式会社スイッチサイエンス、
拓殖大学、
株式会社タブレイン(事務局)、
ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社、
株式会社ドリーム・トレイン・インターネット、
High Technology Explore 株式会社、
株式会社ハローシステム、
株式会社ムトーエンジニアリング
賛助会員 情報科学芸術大学院大学[IAMAS](メディア表現研究科の先生)、
千葉大学(環境健康フィールド科学センターの先生)、
東京大学(先端科学技術研究センターの先生)、
東京大学(大規模集積システム設計教育研究センターの先生)、
東京農工大学(総合情報メディアセンターの先生)

3Gシールドにはインターネットに接続する機能があり、ウェブサーバーやメールサーバとの連携機能や、位置情報を取得するA-GPS 機能、ショートメッセージ(SMS)機能、日時取得機能なども利用できます。

 

これらの機能を使って、広域でのワイヤレスセンサーネットワークの構築や、遠隔操作でのロボットや機械の開発、遠隔監視などが、短期間で実現できるます。

 

これまでは、大手企業や通信キャリアなどでしかできなかった3G通信機器モジュールの開発が、個人や学生でも簡単にできます。

 

現在、3Gシールドの製品には、IEMモジュール版(韓国AnyDATA 製のDTW-400W 利用)とUSB ドングル版の2種類があり、共にJATEやTELECの技術基準適合を取得した通信モジュールを利用しています。IEMモジュール版は昨年10 月から販売中、USB ドングル版はこの夏に発売予定です。

 

この3Gシールドを使って、東京大学の江崎浩教授や落合秀也助教らは、BEMS(ビルエネルギー管理システム)の標準規格である

 

 

IEEE1888対応モジュール

 

を世界に先駆けて開発し、電力センサーを含む各種計測情報を商用のクラウドサーバーに提供するシステムを実現しました。

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3GシールドでBEMSの標準規格IEEE1888対応モジュールを開発した東京大学の江崎浩教授(写真:家入龍太)

また、ハローシステムは、独居高齢者などの見守りシステムをArduinoと3Gシールドで開発したところ、短期間で高性能なシステムが開発できたそうです。

今後、土木構造物の維持管理システムや、スマートハウスと連携する防犯システムなど、建築・土木分野でも幅広く活用できそうですね。

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