管理人のイエイリです。
来るべき大地震に備えて、建物や設備を守るため、様々な免振・制震装置が開発されています。その地震対策効果は用途や規模、コストによって大きく変わります。
しかし、一般の人が対策前後の波形を見たり、被害の違いについて説明を聞いたりしても、どれだけの効果があるのかが、なかなか実感がわきません。
そこで鹿島は、上下動を含む3次元の地震動をリアルに再現できる、3人乗りの体感用振動台「トライデッカー」を開発し、技術研究所西調布実験場(所在地:東京都調布市)で運用を開始しました。
搭乗者は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ヘッドマウントディスプレー
を装着し、360°VR(バーチャルリアリティー)動画を見ながら、没入感の高い、リアルな地震体験が行えるのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
トライデッカーは、水平2方向だけでなく、上下動も再現できるので、1995年の阪神淡路大震災や2004年新潟県中越地震、2011年の東日本大震災など、国内で発生した、様々な大地震の「突き上げ」や「長周期地震動」などの揺れを忠実に再現できます。
ヘッドマウントディスプレーで、周囲の家具が倒れたり、コップが転がったりする360°VR動画を見ながら地震動を体感することで、未来の地震にタイムスリップしたような没入感のある体験が味わえます。
その後、建物に制震や免振構造を採用した場合の揺れや周囲の被害の違いを体験することで、コストに対する効果の違いをよく理解できるというわけです。
3人乗りというのも、同じ地震体験や免振・制震構造の効果を共有し、話し合えるので合意形成に役立ちそうですね。
このほか、鹿島は2008年に開発した持ち運び式の振動台「ポータ震」を改良し、操作性などを改善した「ポータ震II」を開発しました。
天板サイズを大きく、フラットにして人の乗降や実験用機器を搭載しやすくしたほか、タブレット端末によるタッチ操作を採用しました。
そして、組み立て方法も改良し、
1人でも組み立て可能
にしたのです。
鹿島ではこれらの振動台を地震動の体験だけでなく、設備の転倒や落下などによる振動の再現にも活用していく方針です。
振動台もVRも、シミュレーション結果の“出力機器”と言えます。両者が合体することで、その次元数は振動台が2D(水平2方向)や3D(上下動を含めた3方向)に、VRの4D(3Dと動き)や音声の1Dが加わるので、相当なものになり、リアリティーもその分、大幅にパワーアップしそうですね。