管理人のイエイリです。
斜面の安定計算と言えば、斜面状の土塊(どかい)が円弧状のすべり面に沿って回転して崩壊する「円弧すべり」などの解析手法が用いられてきました。
こうした地盤の大変形や崩壊挙動の解析にも、コンピューターを使った最新の解析手法が導入されつつあります。
富士通エフ・アイ・ピーは昨日(3/26)、大変形地盤解析システム「MPMSOIL-3D」を発売しました。斜面などの崩壊過程を一連でシミュレーションするものですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
崩壊土砂が飛び散る
様子までをリアルにシミュレーションできるのです。
地盤変形の解析結果(左)と動画(右)(資料:富士通エフ・アイ・ピー。以下同じ) | |
最大せん断ひずみの解析結果(左)と動画(右) |
上の解析結果を見てみると、確かに円弧すべり面のような層に最大せん断力が分布しているのが分かります。その後、どのように変形が進むのかが分かるところが、MPSOIL-3Dのすごいところですね。
このシステムに使われているのは、「粒子法」という解析手法です。これまでは空気の流れや津波などの解析に用いられてきましたが、その技術を地盤の大変形に適用したものです。
有限要素法(FEM)は小さな変形を対象とした解析には使えますが、計算対象となる斜面自体が崩壊するようなものを解析するのは大変でした。
今回の粒子法による解析手法は、東京大学生産技術研究所の小長井一男教授の指導により、鉄道総合技術研究所が開発したものです。
地盤の大変形・崩壊挙動の解析のほか、地震時の斜面崩壊や
液状化などの大変形解析
が行えます。
気になるお値段ですが、パッケージの販売価格が113万4000円(税込み。1年間サポート料込み)となっています。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)によって、地盤災害を見える化する時にも使えそうですね。