管理人のイエイリです。
米国デンバーで6月20日(現地時間)から、AIA(アメリカ建築家協会)全米大会が本格的にスタートしました。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)はすっかり一般的な設計ツールとなってしまい、かつてのような設計の見える化や干渉チェック、フルBIMなどの話題は、特にセミナーの演目には上がっていません。
とは言うものの、BIMの適用範囲の拡大に関するセミナーは、いろいろと開催されています。その一つが、6月20日に行われたキモン・オーヌマ(Kimon Onuma)氏とステファン・ハーガン(Stephen Hagan)氏による「Geo GIM」というセミナーでした。
キモン・オーヌマ氏(右側)とステファン・ハーガン氏による「Geo BIM」のセミナー(左写真)。会場の雰囲気(右写真)(写真:家入龍太。以下同じ) |
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIM、FM、GISを融合
して、都市レベルの規模でエネルギーシミュレーションを行い、環境都市の実現をマネジメントしようというシステムなのです。
このセミナーで例題に使ったのは、システムはオートデスクの「Vasari BIM Energy Modeling」、ESRIの「ArcGIS」、Trimbleの「SketchUp」、オーヌマ・システムの「Onuma Planning System」です。
Geo BIMの基本は、BIM、FM、GISを融合して都市規模でエネルギーシミュレーションを行うこと |
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使用したシステムはオートデスクの「Vasari BIM Energy Modeling」、ESRIの「ArcGIS」、Trimbleの「SketchUp」、オーヌマ・システムの「Onuma Planning System」(資料:Kimon Onuma, Stephen Hagan。以下同じ) |
これまで、BIM、FM、GISの情報はバラバラに管理されてきました。これらのデータを1つにまとめることで、建物のデータをまとめて都市計画のシナリオごとに都市規模でのエネルギー解析を行い、最適なシナリオを導き出そうというものです。
BIMモデルからは建物の3次元形状や仕様、FMのシステムからは建物が年間に使うエネルギーのデータ、そしてGISはこれらの情報をとりまとめたり、シミュレーション結果をビジュアルに表現したりという役割を担います。
Onuma System上に取り込んだGoogle Earthの3D建物モデル |
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各建物モデルに改修によるエネルギー使用量の情報を取り込んだもの | |
都市の改修計画ごとに各地域や建物種別ごとのエネルギー解析結果を出し、最適なシナリオを追求していく |
キモン・オーヌマ氏は、BIMによる仮想設計コンペ「BIMStorm」の創始者としても有名です。オーヌマ氏らしいのは、セミナーの場で来場者に向けて
iPadで都市計画に参加
してもらうデモンストレーションを行ったことでした。
iPad持参の人はOnuma Systemにログインし、表示されたデンバーの都市内の好きなところに好きな建物を選んで建ててもらうという趣向です。中には既存の建物の上に新しい建物を建てた人もいて、オーヌマ氏から早速、突っ込みを受けていました。
iPad持参者が既存の建物の上に新しい建物を建てた例 |
これらの建物には、類似の建物の標準的なエネルギー使用量などのデータが付加され、即座に複数の建物からなる地域のエネルギーシミュレーションができることを示しました。
日本ではスマートシティーの構想が進んでいますが、その基礎データを提供したり、解析結果を見える化したりするBIMやFM、GISとの連携も実現してほしいですね。