天井裏を球体パノラマ撮影!大成建設が「T-Siteview」で耐震補強を提案
2013年7月3日

管理人のイエイリです。

2011年3月に発生した東日本大震災では、東北地方だけでなく首都圏の建物でも非構造部材の天井があちこちで落下する被害が発生しました。

そのため天井の地震対策への関心が高まっています。行政でも国土交通省が中心となって、「建築基準法施行令及び関連省令並びに関連告示の制定・一部改正案」の平成25年の施行を目指しています。

しかし、天井裏の様子を調査するのは大変です。狭く、限られた開口部から、見える部分を1枚ずつ写真撮影するなど、手間ひまのかかる作業が必要でした。そしてバラバラの写真から、天井裏の全体像を把握するのは難しいものでした。

そこで大成建設は、限られた開口部にカメラを突っ込み、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

天井裏の球体パノラマ画像

 

を生成するシステム「T-Siteview」を天井裏の調査に活用しているのです。

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球体パノラマ画像を撮影するカメラ(写真・資料:大成建設)

1カ所から複数方向を連続撮影したデータを解析・統合することにより、天井裏全体のパノラマ画像を生成できるというメリットを、天井裏の調査に生かしたわけですね。撮影にかかる時間は1カ所当たり約15分と、従来の手法に比べて調査時間は大幅に短縮されます。

そして、パノラマ画像には、

 

ブレースやクリップ

 

などによる補強対策を描き込み、ぐるりと回しながら顧客の前でプレゼンテーションすることができます。

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パノラマ画像にブレースやクリップによる補強対策を描き込んでシミュレーションした例

 
 
YouTubeに公開されている動画。どんな風に顧客にプレゼンできるのかがよく分かります  

図面や断片的な写真だけでは、なかなか天井裏の実態や補強対策の全体像が理解しにくいですが、こうした臨場感のあるパノラマ画像を見ると、経営者や管理者も、納得して耐震対策を実行できそうですね。

大成建設では天井補強の組織体制も整備し、相談窓口を一本化しました。そして全社の情報共有を密にして業務を標準化するとともに、相談窓口以降の調査、診断、対策の計画、具体的提案、施工までの各フェーズをワンストップで対応できる体制を構築しました。

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天井補強をワンストップで対応できる体制も構築した

大成建設では、すでに空港やホール、工場など11件にこのシステムを活用し、顧客からも好評を得ています。2013年度は100件程度の対応を見込んでいるとのことです。維持管理や修繕の業務も、こうした流れができると、仕事もはかどりそうですね。

なお、「T-Siteview」とは、もともとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータにパノラマ写真を重ね合わせ、建物の維持管理に活用するために同社が開発したシステムです(当サイトの参考記事)。

室内全体のパノラマ写真を撮る技術を、天井裏の調査に活用するアイデアはナイスですね。

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BIMモデルと球体パノラマ画像を組み合わせた維持管理システムの例

 
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