管理人のイエイリです。
詳細構造設計用BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、「Tekla Structures」を開発・販売するテクラ主催の「テクラ スキルアップセミナー 2013」が昨日(8/6)、東京・北品川で開催されした。
Tekla Structuresというと、ボルト1本まで3次元で設計できる詳細さが売り物で、先日、ご紹介した米国・デンバー国際空港の拡張工事でも使われていました。
会場には12人の受講者が最新版の「Tekla Structures 19」がインストールされたノートパソコンを1人1台操作しながら、同ソフトの最新機能を学んでいきます。
8月6日、東京・北品川で開かれた「テクラ スキルアップセミナー 2013」(写真:家入龍太。以下同じ) |
今回のセミナーで紹介されたTekla Structures 19の最新機能のうち、面白いと思ったのは鉄筋コンクリート工事の施工管理機能の強化です。
鉄筋コンクリート工事で問題になるのは、「柱」や「床」、「梁」といったBIMモデルの部材の分け方と、同時に生コンを打設する範囲が違うことです。例えば、下の図のような場合、柱と梁は別々の部材ですが、実際は黄色の線の高さまで、柱と梁を同時に打設します。
実際の工事では柱と梁を同時にコンクリート打設する(画像:テクラ。以下同じ) |
もし、打ち継ぎ目のところでBIMモデルを分割して入力すると、今度は鉄筋が打ち継ぎ目を貫通しなかったりという問題も出てきます。
そこで、Tekla Structures 19で搭載された新機能は、BIMモデルを作った後、
ナ、ナ、ナ、ナント、
打ち継ぎ目で分割
できるようにしたのです。
こうすることで、1回のコンクリート打設工程ごとに生コンの体積が自動集計できます。生コンを発注するときも、精度よくできそうですね。
コンクリート打ち継ぎ目で分割、色分けされたBIMモデル |
コンクリートの壁や柱は、構造上、必要とされる厚さよりも部分的に厚くする「増し打ち」がよく行われます。BIMユーザーにとって、この非構造部分をどう入力するかが悩みのタネですが、Tekla Structures 19では「増し打ちコンクリートの配置機能」が搭載されました。
しかも、増し打ちの厚さが一定以上になると、自動的に補強筋や帯筋も入力されるという親切さです。
増し打ちコンクリートの配置機能。一定以上の厚さになると補強筋や帯筋も自動的に入力される |
このほか、IFC形式など、様々なデータ形式を読み込み、統合して見られるフリーソフト「Tekla BIMsight」による鉄筋とアンカー、梁と配管などの詳細な干渉チェック機能も紹介されました。
Tekla BIMsightによる鉄筋とアンカーボルトの干渉チェック |
Tekla BIMsightによる梁と配管の干渉チェック |
Tekla BIMsightによる設備と構造の干渉チェック。設備モデルはNYKシステムズの「Rebro」で作成した |
Tekla Structureは詳細構造設計を得意としていますが、同ソフトらしい機能として導入されたのは、ボルト孔体積ツールです。
鉄骨部材に開けられたボルト穴の体積を集計し、
部材の“正味重量”
を正確にはじき出すことができるのです。
ボルト孔体積ツール。右画面下端の赤枠内にボルト孔の体積が表示されている |
海外の工事現場では、このような機能も使われているそうです。BIMソフトで施工管理すると、データの精度も1ケタ、2ケタ上がりそうですね。今回のセミナー、大変勉強になりました。