管理人のイエイリです。
当ブログでは、2013年10月21日の記事で、あのグーグルが、従来に比べてコストや工期を半減する画期的な建築システムを開発するため、米国・デラウエアに「バネバー・テクノロジー(Vannevar Technology Inc.)」という会社を設立したことをお伝えしました。
同社は今、複数の投資会社から出資を受け、サンフランシスコを本拠とするFLUXという会社になったようです。そして2015年初頭の事業開始に向けて急ピッチでシステム開発を続けています。
今日(日本時間10月15日)、FLUXは画期的な建築計画用クラウドシステムの試用版「Flux Metro Austin Preview」を公開しました。
米国テキサス州オースチンの中心部をモデルケースに、建築や都市計画に関する様々な法規制をデータベース化し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
建築可能な“鳥かご”
をクリック1つで作成できるのです。
早速、私も無料アカウントを作成し、試してみました。まず、地図上で建物を建てたい区画をクリックして選びます。左上のアイコンをクリックすると、等高線や航空写真なども表示できます。
そして茶色のビル形アイコンで3Dビューを選ぶと、周囲の建物や敷地が3Dで表示されます。さらに黄色の四角いメニューをクリックすると法規制をクリアした建築可能な範囲を示した“鳥かご”が3D表示されるというわけです。3D表示にするには右クリックでドラッグするといいですよ。
同時に右側のメニューには、土地の見積価格や適用される法規制のサマリーや、法規制の本文などが表示されます。
ところで、この鳥かごは「203 West 10th Street, Austin, TX」の番地に当てはまる法規制を反映したものですが、ある高さ以上は道路に対して斜めにカットされています。
その理由は
オースチンの景観基準
が考慮されているからです。
オースチンでは市内に十数カ所ある景観ポイントから州会議事堂が見えるような都市計画が行われています。その基準が適用された結果、鳥かごが斜めにカットされたというわけです。
このほか、鳥かごには穴が空いていますが、これは保護すべき樹木の周囲に空間を配慮したためです。
FLUXがこのようなシステムを開発したのは、2050年までに地球上の人口増加で39億人が新たな住宅を必要としていることに対応するためと説明しています。今後、35年間に100人が住める住宅なら毎日3000棟、500人が住める住宅なら毎日600棟の建設が必要になります。
従来の建設手法だと、計画するだけで長い時間がかかってしまいますので、まず、建築計画をスピーディーに行えるようにこのシステムを開発しました。2015年からはオースチン以外の都市にも、このシステムを拡張していくそうです。