白煙もリアル!VRとCFDを組み合わせた大成建設の景観検討
2015年2月6日

管理人のイエイリです。

自然景観が重視される観光地などに施設を建設するとき、最近はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3D設計手法で、その施設がどのように見えるのかを簡単にシミュレーションできるようになりました。

地熱発電所などのプラント施設は煙も立ち上がるので、施設だけでなく煙がどのようなスケールで見えるのか気になります。

そこで大成建設は、VR(バーチャルリアリティー)とCFD(熱流体解析)のシステムを組み合わせ、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

煙の見え方

 

まで精度よくシミュレーションする広域景観評価システムを開発しました。

施設と煙の見え方をシミュレーションできる広域景観評価システム(以下の資料:大成建設)

施設と煙の見え方をシミュレーションできる広域景観評価システム(以下の資料:大成建設)

まず、地形と新たに建設する建物などの施設をVRソフト上で3Dモデル化します。

そのデータをCFDソフトに読み込み、数値解析を行って白煙などの温熱や気流などをシミュレーションします。

その結果を再び、VRソフトに戻し、地形や施設と一体化して景観検討を行う、といった手順です。

VRソフト上で地形や計画施設を3Dモデル化すると、いろいろな場所から施設がどう見えるかがわかる

VRソフト上で地形や計画施設を3Dモデル化すると、いろいろな場所から施設がどう見えるかがわかる

VRで作った地形や計画施設の位置をCFDソフトに読み込み、白煙などの動きをシミュレーションする

VRで作った地形や計画施設の位置をCFDソフトに読み込み、白煙などの動きをシミュレーションする

ここまでは、市販のVRソフトを使ってもなんとかできそうですが、ある計画施設に対していろいろな場所からの見え方をくまなく検討するためには、多数の視点から眺めたCG(コンピューターグラフィックス)パースを作ったり、徹底的にウオークスルーしたりする必要があります。

そこで大成建設は、この問題を“逆転の発想”で効率的に検討できるようにしました。それは、

 

可視率という新指標

 

を使った解析手法です。

この手法を使えば、例えばある施設を計画したとき、周辺の10km四方の範囲でその施設が見える度合いを3D地図上に色分け表示することができます。

可視化率解析の結果。視点の位置に応じてある施設が見える度合いを色分け表示できる

可視化率解析の結果。視点の位置に応じてある施設が見える度合いを色分け表示できる

さらに大成建設には、このVRシステムを上映できる幅4.2m×高さ2.4mの実物大3Dスクリーンがあります。液晶シャッター付きの3Dメガネをかけて見ると、あたかも現地に立っているように実物同様のスケールで景観を体感できます。

5.1chや7.1chの音響システムとも連動しているので、騒音などの解析結果もVRに合成すると、まさに施設建設後の未来にタイムスリップしたような体験ができそうですね。

大成建設の実物大3Dスクリーン。これにVRでシミュレーション結果を映し出すと、まるで現地に行った感覚になりそうだ(写真:家入龍太)

大成建設の実物大3Dスクリーン。これにVRでシミュレーション結果を映し出すと、まるで現地に行った感覚になりそうだ(写真:家入龍太)

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