管理人のイエイリです。
建設中の高層ビルで、各階への資機材搬入の要となるのが現場用エレベーターです。
各階の施工の進み具合に合わせて、ムリ、ムダ、ムラなく計画的に資機材を搬入するように最適に管理することが、工期の短縮につながります。
そこで大林組は現場用エレベーターを使って、リアルタイムに資機材の動きを把握し、見える化する「揚重管理システム」を開発しました。
エレベーターのかごに
ナ、ナ、ナ、ナント、
ICタグリーダー
を設置し、建設作業員や機材の動きを読み取る仕組みなのです。
読み取るICタグは、現場作業員や高所作業車などの機材と、エレベーター各階の出入り口に取り付けておきます。
エレベーターに乗った作業員や機材が、どの階で降りたのかを、ICタグリーダーで読み取り、その情報をエレベーターシャフトを通して無線LANで現場事務所に送り、揚重データを把握します。
これまでは、エレベーターのオペレーターなどが、揚重した資材名や数量、使用する会社名などを紙に手書きし、毎日、作業後にパソコンに入力して揚重データを把握していました。
そして必要に応じて、翌日以降の揚重計画を見直していたのです。
今回の揚重管理システムができたことで、リアルタイムに揚重計画と実績の差が分かるので、スピーディーに揚重計画を修正し、効率的に作業することが可能になります。
面白いのは、高所作業車にはICタグ以外に加速度センサーも付いていることです。
その狙いは、
高所作業車の稼働率把握
です。
現場内を動き回っていない高所作業車は、加速度データがあまり記録されていません。
この稼働率をエレベーターに乗り降りする際にICタグで読み取ることで、稼働率の低い機材を早期発見し、配置変更やリース会社への返却を迅速に行えます。
大林組の実証実験では、高所作業車の延べ台数を16%、コストを18%削減できることが確認できました。
今後は現場内を自動で動き回る無人搬送車「低床式AGV(Automated Guided Vehicle)」との連携システムも開発していく方針です。
まさに、現場のIoT(Internet of Things:物のインターネット)がエレベーターを軸に実現した画期的なシステムに進化していきそうですね。