BIMモデルはクラウドに!日本設計が実践的なBIM-FMシステムを開発
2017年4月13日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を、建物が完成した後のファシリティーマネジメント(FM)に活用できないかという話は、何年も前からありました。

しかし、建物管理では詳細な3Dモデルが必要とされる機会は少なく、BIMの特徴を生かしたFMシステムはなかなか生まれてきませんでした。

そこで、日本設計オートデスクは昨日(4月12日)、東京・西新宿で記者会見を開き、両者が協力して実践的なBIMを使ったFMシステム(以下、BIM-FM)の開発に乗り出したことを発表しました。

記者会見で発表する日本設計の岩村雅人氏(右端)、同・吉原和正氏(中央)、オートデスクの山田渉氏(左端)(写真:家入龍太)

記者会見で発表する日本設計の岩村雅人氏(右端)、同・吉原和正氏(中央)、オートデスクの山田渉氏(左端)(写真:家入龍太)

開発中のBIM-FMシステムのプロトタイプ(以下の資料:日本設計、オートデスク)

開発中のBIM-FMシステムのプロトタイプ(以下の資料:日本設計、オートデスク)

日々、データが更新されるFM業務の情報を、一元管理していくためには、相当、詳細なBIMモデルが必要なのかと想像しがちです。

しかし、記者会見の発表によると、FMには配管や構造部材などが詰め込まれた詳細な竣工BIMモデルは必要なく、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

シンプルなBIMモデル

 

の方が適しているというのです。

BIMモデルの詳細度は、「LOD(Level of Detail)」という指標で表されますが、LODが高いほど3Dモデルも詳細な形状をもったものになります。

しかし、日本設計は維持管理には情報の詳細さである「LOI(Level of Information)」の方がむしろ大事であるという考え方で、今回のBIM-FMシステムを開発しました。

BIM-FMに求められる3Dモデルと情報の内訳。施工時の製作形状の決定に使った詳細な3Dモデルなどはあまり必要ない

BIM-FMに求められる3Dモデルと情報の内訳。施工時の製作形状の決定に使った詳細な3Dモデルなどはあまり必要ない

開発中のBIM-FMの特徴は、既存のFMシステムをシンプルなBIMモデルと連携させ、BIMモデルに各種情報にアクセスする「インデックス」としての役割を持たせることにあります。

そして詳細な配管やダクト、電線などのBIMモデルの代わりに、部屋と機器、機器と機器の接続関係を表す「系統情報」を使っています。

この系統情報のおかげで、シンプルなBIMモデルであるにもかかわらず、ある機器が故障したときに影響が及ぶ部屋などを瞬時に突き止めるといった維持管理時の操作が可能になります。

既存のFMシステムを、BIMモデルと連携させるためには、データ交換やBIMソフトと連携させるための特別なソフトウエア開発で、膨大な時間とコストがかかりそうと思われがちです。

この問題を解決するため、両者が採用したのは、

 

クラウドにBIMモデル

 

を置き、既存のFMシステムからアクセスする方法です。

既存のFMシステムとクラウド上のBIMモデルを連携させる

既存のFMシステムとクラウド上のBIMモデルを連携させる

具体的には、オートデスクのBIMソフト「Revit」で作成したBIMモデルに、オートデスクのクラウドシステム「Forge」のAPIを介してアクセスする方法です。

既存システムとBIMモデルを、APIを介してつなぐことで、異なるデータ形式を変換するといった面倒な開発が不要になるとのことです。

現在、開発中のBIM-FMのプロトタイプシステムでは、FMシステムの最大手であるプロパティ データバンクのFMシステムとRevitのBIMモデルをForgeによって連動させているとのことです。

プロトタイプでは、プロパティ データバンクのFMシステムを使用している

プロトタイプでは、プロパティ データバンクのFMシステムを使用している

日本設計とオートデスクは2014年9月から次世代BIMの実現を目指してパートナーシップを結び、設備設計の自動化や都市規模のBIMモデルによる環境解析などを次々と実現してきました。

今回、BIM-FMまでシステムの幅が広がったことで、建設ワークフローの上流から下流までをカバーできる体制が整ってきたと言えそうです。BIMを活用する建築設計事務所のビジネス展開としても参考になりそうですね。

着々と拡大する日本設計のBIMワークフロー

着々と拡大する日本設計のBIMワークフロー

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