BIMとタブレットを連動!竹中工務店が設備の施工管理手法を開発
2017年11月2日

管理人のイエイリです。

せっかくBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで設計した建物でも、施工段階では従来の図面や紙の帳票による施工管理を行っている例は、いまだに多そうですね。

施工管理に紙を使うデメリットは、なにかとデータの転記作業が多くなることです。そのための作業時間や転記ミスがないかを確認するための時間が多くかかっていました。

そこで竹中工務店は、BIMモデルやタブレットを使って、設備の施工管理業務を効率化する手法を開発しました。

その手法とは、BIMモデルの属性情報から

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

タブレット版のチェックリスト

 

を自動作成するものなのです。

そして現場での施工管理業務では、各部材の施工状況を確認し、タブレット版のチェックリストに直接入力していきます。そのデータから、検査報告書も自動的に作ってくれるというものです。

確認済み/未確認の状況はチェックリストだけでなく、タブレット上に表示したBIMモデルでも自動的に色分けして見える化されるので、部材が密集している箇所でも見落としや見間違えのミスが起こりにくくなります。

このシステムは、コンピュータシステム研究所のBIM統合管理ソフト「BIM/CIM Ark」を使って構築しました。

タブレット上のチェックリストやBIMモデルで、確認済み/未確認の状況を色分けして見える化できる(以下の資料:竹中工務店)

タブレット上のチェックリストやBIMモデルで、確認済み/未確認の状況を色分けして見える化できる(以下の資料:竹中工務店)

タブレットに入力した施工状況から検査報告書を自動作成できる

タブレットに入力した施工状況から検査報告書を自動作成できる

これで人間による転記作業はなくなり、施工状況の確認作業はぐっと効率化されそうですね。

竹中工務店は、東京・新宿区内の現場で、配管が構造部材を貫通する部分に設ける「スリーブ」の確認検査作業にこのシステムを使って検証したところ、チェックリストの作成→現場確認→検査報告書作成までの作業時間を25%削減することができました。

従来の方法は施工図からチェックリスト、チェックリストから報告書へと転記作業が多かった(上)のに対し、今回開発の手法はBIMモデルの属性情報→タブレット版チェックリスト→報告書を自動作成する(下)

従来の方法は施工図からチェックリスト、チェックリストから報告書へと転記作業が多かった(上)のに対し、今回開発の手法はBIMモデルの属性情報→タブレット版チェックリスト→報告書を自動作成する(下)

このほか、このシステムでは、複数の部材で構成された配管系統などの検査結果も効率的に記録できるようになっています。

例えば、配管水圧試験などは、検査結果を

 

系統ごとに一括記録

 

できるのです。

そのため、うっかり見落としがちな系統の境目なども、どこが未確認な部分なのかを見える化し、試験もれがあった場合もすぐに発見できます。

配管水圧試験結果は系統ごとに一括記録できる。試験もれがあった場合もすぐに発見できる

配管水圧試験結果は系統ごとに一括記録できる。試験もれがあった場合もすぐに発見できる

竹中工務店では今後、このBIMによる施工管理手法を同社のプロジェクトで広く展開していきます。そして2020年までには、測定機器とBIMの連動や、FM(ファシリティーマネジメント)システムや機器台帳とBIMの連動へと拡大させることを目指しています。

こうなると、建物の施工や維持管理情報はすべてBIMモデル上で一元管理されることになり、建設ITから“建設IoT”へと進化して、生産性向上が進んでいきそうですね。

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