管理人のイエイリです。
日本建設業連合会のBIM専門部会は2017年11月、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)をこれから導入する企業やうまく活用できていないゼネコンを対象に、「施工BIMのすすめ」を発刊しました。
12月5日に東京・八丁堀で同専門部会は、この冊子をテキストにして「施工BIMスタートアップセミナー2017」というセミナーを開催。会場は約80人の参加者で埋まりました。
この冊子は、年々広がりつつある企業間のBIM活用レベルの差を縮める目的で編集されましたが、今回のセミナーでは、BIMを使った業務別に
ナ、ナ、ナ、ナント、
難易度の評価
も紹介され、さらに施工BIMで取っつきやすい部分が明らかにされたのです。
難易度は☆の数が1~3で表され、☆が多いほど難しいことになります。
例えば、初心者のBIM導入企業が比較的取り組みやすい「☆1つ」の業務の例としては、「BIMモデルを使った発注者や設計者との合意形成」や「施工手順の検討、確認/施工計画への活用」があります。
少しレベルが上がって「☆2つ」になると、「部材間の干渉チェック」や「納まり確認」、「デジタルモックアップ」、「躯体の数量算出」など、より正確で詳細なBIMモデルが求められる業務が上げられました。
そして、かなり上級者向けの「☆3つ」では、「点群データの活用」や「仕上げ材の数量算出」、そして「躯体図や仕上詳細などの施工図」と、実物とBIMモデルの一致が求められるBIM活用業務となりました。
やはり、BIMによる施工図作成は、かなり難関になりそうですね。
その一方で、施工LOD検討ワーキンググループの吉原裕之リーダーからは、
BIM施工図の簡略化
という、生産性向上に役立つ“改革案”も提案されました。
BIMがなかった時代の施工図は、2Dの情報から3D形状を復元できるだけの情報量が必要でしたが、BIMモデルがあれば3D形状はわかります。
また、施工に必要な寸法もBIMモデルから必要な部分を拾えるので、寸法線もあれこれ描く必要はなくなります。つまり、BIM時代に合った施工図は、もっと簡単でいいのではということですね。
確かに、BIMモデルとAR用ホログラフィックコンピューター「HoloLens」を使った設備用インサートの墨出し作業も、参考用の図面にはほとんど寸法線はなくても支障がありませんでした。(詳細は当ブログ2017年8月24日付けの記事参照)
これまではBIMモデルから苦労して従来のような図面を描くための苦労が行われてきましたが、これからは図面や設計図書の表現方法や記載する内容も、生産性の高い方向にシフトしていくべきなのではと、思った次第です。
なお、「施工BIMのすすめ」は、日建連のホームページから無料でダウンロードできます。まだの方はぜひ、どうぞ!