火災時の避難を3Dで再現!建築ピボットの「避難検証法」に新機能
2018年1月26日

管理人のイエイリです。

建物で火災が発生したときに、中の人が安全に避難できることを証明する「避難安全検証法」として、建築基準法では一律の仕様規定に従う方法(ルートA)と、計算式で証明する方法(ルートB)、いくつものコンピューターシミュレーションによる方法(ルートC)の3つがあります。

建築ピボットは、このうち「ルートB」の手法に従った火災時の安全検証を行うソフトの最新版として「避難検証法 Ver.3」を2018年2月20日に出荷することになりました。

「避難検証法 Ver.3」の画面(以下の資料:建築ピボット)

「避難検証法 Ver.3」の画面(以下の資料:建築ピボット)

計算式で証明する「ルートB」で検証した結果は、数字ばかりになりそうな気がしますが、今回の新バージョンでは火災が発生してから避難が完了するまでの状況を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3Dシミュレーション

 

で再現する新機能が搭載されたのです。

この機能は、計算結果から煙の拡散時間を想定し、計算された経路に従って避難する人の動きや滞留、煙の効果の様子を時々刻々と観察できるようにしたものです。

例えば、パーティーなどが行われている大会場の真ん中で、火の手が上がった場合の3Dシミュレーションは次のようになります。

パーティーが行われている会場の真ん中で火災が発生した

パーティーが行われている会場の真ん中で火災が発生した

各出口に計算式通りの人が集まり、順次、脱出する様子。赤丸印は階段や出口の位置

各出口に計算式通りの人が集まり、順次、脱出する様子。赤丸印は階段や出口の位置

その間、床からは“黒い水”のようなものがじわじわと上がってくる。これは煙が下りてくる高さを、逆に水面のように表すことでわかりやすくしたもの

その間、床からは“黒い水”のようなものがじわじわと上がってくる。これは煙が下りてくる高さを、逆に水面のように表すことでわかりやすくしたもの

煙の高さが1.8mになると赤く変色する

煙の高さが1.8mになると赤く変色する

そのとき、煙に巻かれた人の服が黒くなる

そのとき、煙に巻かれた人の服が黒くなる

煙に巻かれた人数や、建物から脱出済みの人数もリアルタイムで表示される

煙に巻かれた人数や、建物から脱出済みの人数もリアルタイムで表示される

煙はまず天井まで上がって、徐々に下がってきて、高さ1.8mになるまでに避難する必要があります。3D画面上でそれと同じように表示すると、人の動きや取り残された人がわかりにくくなるので、あえて

 

黒い水が床から迫る

 

ような表示方法をとっているところに工夫を感じます。

この3Dシミュレーションの結果から単に避難完了までの時間だけでなく、その間に混雑しそうな出口や階段、通路などをリアルに予測できるため、より安全な避難経路を検討するためのヒントが得られそうですね。

このほか、3D表示により平面プランや天井高、ドアのタイプなどが容易に確認できる機能や、建築ピボットのシンプルBIMソフト「i-ARM」とのデータ連携、計算実行の際にデータの矛盾を発見する機能などが新たに搭載されました。

気になるお値段ですが、新規購入の場合は38万円(税別)です。2018年6月30日までは34万2000円(同)のキャンペーン価格が適用されるそうです。

(Visited 2 times, 1 visits today)

Translate »