管理人のイエイリです。
2018年1月23日午前に発生した草津白根山の噴火を報じるテレビニュースでは、スキーゲレンデに数多くの噴石が降り注ぎ、あちこちで雪煙が上がる映像が放映され、自然の脅威を見せつけられる思いでした。
噴石によって亡くなられた、陸上自衛隊の陸曹長のご冥福をお祈りいたします。
こうした火山災害では、発生直後に現場がどのようになっているのかをいち早く把握する必要があります。しかし、噴煙が舞う空域でヘリコプターを飛行させると火山灰によってエンジントラブルが発生する恐れがあるため、簡単には近づけません。
そこでパスコは、噴火翌日の1月24日の夕方、合成開口レーダー衛星「TerraSAR-X」により、草津白根山周辺の地形を撮影したところ、
複数の噴火口
と思われる地形変化を確認したのです。(パスコのPDFリリースはこちら)
上の画像を見ると、大きな円内には東西約200m×南北50mの範囲に複数の噴火口とみられる地形変化が確認できたほか、小さな円内にも噴火口らしい変化が見られました。
合成開口レーダー衛星は、宇宙空間から電波を発射して地球表面を観測するので、雲や噴煙があってもその下を“透視”するように地表面を観測できます。
さらに時系列的にミリ単位の沈下も面的に測れるほどの高い精度を持っているため、埋め立て工事やトンネル工事による地盤沈下量の計測などにも使われています。
パスコは、自社が持つ空間情報の取得技術と処理技術を生かして、様々な災害現場を撮影・計測し、自社ウェブサイトの「災害撮影[事業活動と社会貢献]」というページで公開しています。
草津白根山の画像もこのサイトにアップされており、噴火前の画像と比較できる
スワイプ画像
も掲載されています。
この画像の上でマウスを左右に動かすと、その部分が境界線となって2年前と現在の画像が入れ替わり、比較しやすくなっています。
合成開口レーダー衛星は天候に左右されずに現場の状況を確認できるというメリットを生かして、今後、スピーディーな災害対策に大きな力を発揮しそうですね。