管理人のイエイリです。
国土交通省の「i-Construction」施策などによって、3Dレーザースキャナーで現場を点群計測する機会が増えています。
通常は工事に関係する部分以外の周辺道路や地形などの点群は、カットしてしまうことが多いですが、近くで災害が起こったときや別の工事を行うとき、周辺部分の点群が貴重なデータとして使える場合もあります。
そこで静岡県は、工事の際に使った貴重な点群データを再利用するため、「Shizuoka Point Cloud DB」というウェブサイトを運営しています。
工事の際に計測された生の点群データを
ナ、ナ、ナ、ナント、
無償でダウンロード
できるのです。
試しに「白糸の滝滝見橋周辺整備事業 その4」のアイコンをクリックしてみると、地図上に赤枠が表れました。それをクリックすると工事の名称や提供者名、登録日付などとともに、登録されている点群データへのリンクが表示されます。
ここで点群データへのリンクをクリックすると、すぐにダウンロードが始まります。私が試したものは、1つのファイルサイズが約200MBあり、「.las」形式で提供されていました。
ダウンロードした点群データを、点群表示ソフトで開きます。私の場合は以前、アイサンテクノロジーのセミナーに参加したときにもらった同社の点群処理ソフト「WingEarth」の体験版をパソコンにインストールして利用しました。
点群データを開くのは初めてでしたが、このソフトは200MBものデータをスイスイと開いてくれました。
マウスを操作して点群データ内を移動・回転したり、拡大縮小していろいろな角度から見てみると、まるで現場を歩き回ったり、ドローンで空中から見たりする気分になりました。
薄い点群も拡大していくと、橋の構造や石垣などが写真のようにくっきりと表れました。
他の企業が計測した点群データを使うときは、著作権が気になりますが、白糸の滝の点群データの場合、著作権の国際標準である
クリエイティブ・コモンズ4.0
の条件の範囲で無償で利用することができるので安心です。(クリエイティブコモンズ4.0の詳細はこちら)
この話は、2018年2月6日に東京・有明で開催された「トプコンソキアポジショニングジャパンロードショー2018」で、日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所の藤島崇さんが「i-Construction 今後の展開」という講演の中で紹介されたものです。
今後、静岡県の工事に伴って道路や河川、地形が少しずつ3Dデータ化されてきます。
シンガポールでは国全体を3Dモデル化する「バーチャル・シンガポール」の計画が進行中ですが、「Shizuoka Point Cloud DB」も“バーチャル静岡県”としての価値が高まってきそうですね。