あのBIMStormが10周年に!“仮想BIMコンペ”の手法はさらに進化していた
2018年6月7日

管理人のイエイリです。

3D計測をテーマとしたイベント「SPAR 3D」と、建築のIT技術をテーマにしたイベント「AEC NEXT」は、今年6月5日~7日の間、米国ロサンゼルスのアナハイムで同じ会場で開かれています。

「SPAR 3D」と「AEC NEXT」が同時開催されているアナハイムコンベンションセンター(写真:家入龍太)

「SPAR 3D」と「AEC NEXT」が同時開催されているアナハイムコンベンションセンター(写真:家入龍太)

開幕一番の講演を行ったのは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って24時間とか48時間とかの短時間で課題の建物を設計する“仮想BIMコンペ”の元祖とも言える「BIMStorm」の生みの親であるキモン・オーヌマ(Kimon Onuma)氏と、ステファン・ハガン(Stephen Hagan)氏だったのです。

講演するキモン・オーヌマ氏(左)とステファン・ハガン氏(右)

講演するキモン・オーヌマ氏(左)とステファン・ハガン氏(右)

BIMStormのウェブサイト

BIMStormのウェブサイト

もはや、米国ではBIMは当たり前になったので、BIMStormの役目は終わったのではと思っていたところ、まだ建物設計のトレーニングや実際のプロジェクトの合意形成などで使われており、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

2018年で10周年

 

を迎え、ますます進化しながら、BIMの新しい活用を切り開いていることが明らかになったのです。

10周年を迎えた「BIMStorm」のイメージ

10周年を迎えた「BIMStorm」のイメージ

例えば、昨年はカリフォルニア州のサンノゼ国際空港の職員を対象に、将来の国際線の増加に対応するための、ターミナルビルの拡張工事のトレーニングを行いました。

日本からもANAのボーイング787型機が就航しているサンノゼ国際空港のイメージ図

日本からもANAのボーイング787型機が就航しているサンノゼ国際空港のイメージ図

サンノゼ国際空港の拡張工事では、単に部屋だけでなくゲート脇に止まる飛行機のことも考えなければいけません。

国際線で使われるボーイング787型機は、国内線で使われるボーイング737型機などに比べるとかなりサイズが大きく、ゲートの間隔も広くする必要があります。

そこで、ターミナルビルを構成する待合室や乗降用のボーディングブリッジなどのBIMパーツに加えて、同じスケールの飛行機や飛行機同士の離隔用のBIMパーツも用意。

これらをレゴブロックのように組み合わせることによって、飛行機の大きさや荷物、機内食などを運搬するサービス車両の動線も確保したプランを作り上げたのです。

ターミナルビルの各部パーツのほか飛行機や離隔、サービス車両などのBIMパーツも用意した

ターミナルビルの各部パーツのほか飛行機や離隔、サービス車両などのBIMパーツも用意した

パーツをレゴブロックのように組み合わせて、飛行機の大きさを考慮したターミナルビルのBIMモデルを作っていく

パーツをレゴブロックのように組み合わせて、飛行機の大きさを考慮したターミナルビルのBIMモデルを作っていく

建設コストもBIMモデルと連動してはじき出される

建設コストもBIMモデルと連動してはじき出される

3Dビューで見るとターミナルビルのBIMモデルになっていた

3Dビューで見るとターミナルビルのBIMモデルになっていた

驚いたのは、そのスピードです。最初に必要なBIMパーツが出てきてから、そこそこのBIMモデルができるまでの時間は、ゲートを10個持ったターミナルビルの場合でも、

 

わずか30分程度で完了

 

してしまうそうです。

ゲートが10個あるターミナルビルも、30分程度でBIMモデルができてしまう

ゲートが10個あるターミナルビルも、30分程度でBIMモデルができてしまう

BIMパーツは部屋ごとに必要な家具などもセットになっており、オーヌマ氏が開発したクラウドシステム「オーヌマシステム」上で必要な部屋の種類や数などを選ぶと、BIMソフトの上に必要なパーツが用意される仕組みです。

BIMStormでは、以前からこのシステムが使われていましたが、BIMの自動設計が課題になってきた今、その先見性があらためて注目されそうです。

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