管理人のイエイリです。
画像処理などに使われるGPU(画像処理ユニット)の巨大メーカー、NVIDIAは普通の人にはあまりなじみのない製品を作っているせいか、最近、一般経済ニュースでは“謎のAI半導体メーカー”と呼ばれ、話題になりました。
NVIDIAは最近、米国カリフォルニア州サンタクララに2500人を収容する本社ビルを完成させました。「NVIDIAの魂を表す建物がほしい」という、同社CEOのジェンスン・フアン(Jensen
Huang)の言葉通り、ユニークなデザインのビルができました。
VR(バーチャルリアリティー)などの画像処理は三角形の「ポリゴン」と呼ばれる単位で行われることが多いため、屋根やオフィス、駐車場などの形も三角形をベースに設計されています。
ロサンゼルスのアナハイムで開催中の建築技術展「AEC NEXT」で、設計を担当したゲンスラー(Gensler)のマネージング・プリンシパル、ケン・サンダース(Ken Sanders)氏と、NVIDIAの上席プロジェクト・マネジャーのジャック・ダールグレン(Jack
Dahlgren)氏が、ビルが建設されるまでの経緯を講演しました。
もちろん、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って設計・施工が行われたことは想像に難くありません。
微妙な起伏のある屋根は、数式とプログラムによって3D形状を作り出す「アルゴリズミック・デザイン」で設計しました。
そして、ゲンスラーはNVIDIAとの打ち合わせで、図面は使わずに
ナ、ナ、ナ、ナント、
VRを駆使して
デザインの検討や合意形成を進めていったそうです。
「VRのよい点は、見た目のデザインだけでなく、空間の広さや完成後の動線などが、事前によく理解できることことだった」とダールグレン氏は説明しました。
また、この本社ビルでは屋根に天窓を多く設置し、自然光を多く取り入れる設計にしています。いろいろな季節と時間で日影シミュレーションを行い、天窓の配置や大きさなどを検討したそうです。
NVIDIAでは、今回完成した新本社ビルの隣にもう一つのビルを建設する予定で設計を進めています。
新しいビルは外部に向かって開放的なイメージにしようと、ビルの内外で自然がつながっているようなデザインになっています。
最もユニークなのは
ビルの中に“山”を建設
することです。
違う階への移動は、山道のようにくねくねと配置された階段を通っていきます。また、トイレなどは静かな環境を実現するため、“山の下”に設置するそうです。
やはり、三角形や自然の地形を模した山をモチーフにした立体的なデザインでは、図面による打ち合わせはわかりにくく、ベストな設計案を煮詰めていくのは難しそうですね。
どんな建物が完成するのか、今から楽しみです。