管理人のイエイリです。
建物のリニューアル工事では、設計に先立って室内の見取り図を作ります。これまでは、メジャーやレーザー距離計などを使って建物の各部を測りながら図面を起こし、細かい部分の補足情報として写真を撮ったり、メモ書きしたりしていました。
3DレーザースキャナーメーカーのFAROは、これらの現地調査作業をまとめて行えるコンパクトな2Dレーザースキャナー「FARO SCANPLAN」をこのほど発売しました。
重さ1.5kgのスキャナーに、スマートフォンをセットすると前方230度をカバーするように毎秒約2万9000回のレーザー光線が発射されます。
これを持って調査する室内を歩き回るだけで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
2D見取り図が自動作成
されるのです。
まずは点群でラスター画像のような見取り図ができますが、これをDWGやPDFなどのCAD図面に変換することも可能です。
また、現場にある設備などを写真に撮ったり、周囲を360度パノラマカメラで撮影したりして、見取り図上にリンクすることもできます。
作成された図面や写真などのデータは、クラウドサーバーにアップすると、離れたところにいる設計者にも瞬時に送れます。そして設計者は図面や写真を見たり、必要に応じてVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルで360度写真を見たりしながら、現場の細かいところを確認できます。
FAROらしい機能として、その次に行う現地計測のため、3Dレーザースキャナーの
最適な据え付け場所
を自動的に提案し、スキャン作業にかかる時間や点群の間隔などを計画してくれる機能も備えています。
3Dレーザースキャナー計測を行うときは、据え付ける点まで誘導する機能もあり、SCANPLANのグリップエンドに仕込まれたレーザーポインターで“墨出し”してくれるという機能まで付いています。
場所を変えながら計測した複数の点群データは、見取り図上で仮合成されており、さらにソフトウエアで精密な合成作業を行えるようになっています。
これだけ細かい図面や写真、点群データがあれば設計者は現地に行かなくても、“バーチャル現地調査”を行ってすぐに設計に取りかかることもできそうですね。
3D点群データやクラウド、そしてVRやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使うことで、“移動のムダ”をなくすことができれば、建設業の生産性は大きく向上しそうです。
「SCANPLAN」の活用イメージ(FAROのYouTube動画より)