管理人のイエイリです。
遠く離れた鉄塔の間に電線を張る工事は、太さ数ミリの細いロープを張るところから始まります。その後、細いロープにやや太いロープをつないで引っ張り、ということを繰り返して最後は電線が架設されるという手順です。
農業分野のドローンメーカー、マゼックス(本社:大阪府東大阪市)は、この最も難関である最初の1本をかけ渡すケーブル架設用のドローン(無人機)「延助(のびすけ)III」を開発し、このほど発売しました。
ドローン本体は980×980×572mm、重量10.7kgと堂々としたもので、ロープを引っ張り、所定の位置に投下する「切り離し装置」が付いています。
細いロープといえども重さは100mで1.5kgほどあり、空中では風も吹くので、数百メートルの距離にロープをかけ渡すためにはロープ重量の約3倍もの力が必要とのことです。
そこで、このドローンは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
150Nの引っ張り力
でロープをけん引するパワーを持っているのです。重量に換算すると15kgになります。(延助IIの紹介ページはこちら)
パワーはいいとして、ケーブル工事にはもう一つの難関があります。それはドローンが離陸する地点から到着する地点までの間に樹木や山があり、見通せないことです。
また、到着地点ではロープが木に引っかからないように、木の間をうまく通す必要もあります。
そこで、このドローンは離陸地点と着陸地点に、
2人のパイロットを配置
し、途中で操縦を交代する国内初の「2オペレーション仕様」になっているのです。
そのため、ドローンが離陸して着陸地点から見えるようになると、着陸地点側のパイロットが操縦権を引き継ぎ、ドローンを安全に誘導し、狙った場所に着陸させることができます。
気になるお値段ですが、機体と送信機2台で148万円(税別)と意外にリーズナブルです。このほか、バッテリーと充電器(16万8000円)が別途必要になります。
このドローンを使って、450mの距離に4本のロープをわたす作業を行ったところ、人員配置や移動に合計1時間、実際の飛行に合計30分、全作業を90分で完了することができました。従来は2日間の作業が必要だったとのことです。
ケーブル工事には、かなりの生産性向上効果がありそうですね。